アニメ制作会社『武蔵野アニメーション』、通称『ムサニ』の制作進行として成長した宮森あおい(木村珠莉)。しかしムサニはとある企画の頓挫から規模を縮小し、かつての仲間たちも多くが会社を離れていた。そんなある日、新社長渡辺(松風雅也)に起死回生の劇場用アニメ製作を告げられたあおいは、アニメに夢を抱いてともに業界に飛び込んだ安原絵麻(佳村はるか)、坂木しずか(千菅春香)、藤堂美沙(高野麻美)、今井みどり(大仁田仁美)ら高校時代の仲間たちや、新たなメンバーたちとともに映画の完成を目指して奮闘を始める。
監督:水島努、脚本:横手美智子、キャラクター原案:ぽんかん⑧、キャラクターデザイン・総作画監督:関口可奈味、美術監督:垣堺司、竹田悠介、アニメーション製作:P.A.WORKS。
自分自身の好きな作品を創作したいというアーティスト的な夢を持つあおいと、楽しい仲間たちが集う集団であるムサニという組織そのものが主人公として並立することの矛盾がスルーされていたのは、テレビ版同様に消化不良を感じた。あと、表現技術の限られていた黎明期に低年齢層向け作品が多かったことで生まれた〈子供たちに向けて作られる物〉というアニメの幻想を都合のよいところだけ無頓着に援用していて、アニメ製作そのものを主題におきながら意図的にアニメーション作品の定義を曖昧にしているようにも感じられた。
とはいえ、テレビの続きとして充分に楽しかったし、散らばった仲間たちを集めて目的を達成するという予定調和的な物語をミュージカルや劇中劇をしつこいぐらい入れ込んだ過剰な演出や、細かなディテールと重みのあるCG使いで盛りに盛って、ただのテレビの続きではないようにビルドアップされていたので、劇場用作品としてもちゃんと堪能出来た。その劇中劇が全く心惹かれないのはどうかとも思ったが、任侠映画オマージュのあおいと楓(佐倉綾音)の討ち入り場面は楽しかったりしたので、ここら辺は各自の趣味嗜好での好き嫌いかな、という感想。