作者も自身が非暴力的で気弱な人間であることをあとがきでことさら強調するほど暴力的で残虐なスプラッター小説だが、綿密な人体破壊描写はマニアックなスプラッター映画に感じる作り手の新しい表現、見せ方を提示してやろうという懸命な情熱と同種の清々しい熱量がほとばしっていて、嫌な感じはない。というか楽しい。と同時にミステリ的な仕掛けも施されていて、作り物としての面白さが堪能出来た。綾辻行人の小説って、サラリーマンがひま潰しに読むミステリ作品だと勝手なイメージを抱いていたが、ファンやジャンルのマニアには周知のことなんだろうけど、そういうものでは無かった。恥ずかしかです…。