1943年、ニュージーランドからサモアへ向かうB-17爆撃機に乗り込んだ連合国空軍の大尉モード・ギャレット大尉(クロエ・グレース・モレッツ)。荒くれの男性兵士たちからの猜疑と罵声を浴びながらも機密物資を運ぶ極秘任務を理由に無理に搭乗したモードだったが、飛行機乗りの中でまことしやかに噂される奇怪な怪物、グレムリンの姿を機外に目撃する。
監督・脚本:ロザンヌ・リャン、脚本:マックス・ランディス、撮影:キット・フレイザー、音楽:マフイヤ・ブリッジマン=クーパー。
主人公が空軍機に乗り込むとんでもな動機、グレムリン寓話の挿入、80's風シンセポップなサントラ、それらの全てが作品総体として必然性を感じさせない破茶滅茶さ。そこにクロエのアイドル映画要素まで加わって、結局なんなの⁉︎という感じ。で、そこが楽しかったのだが、作り手はフェミニズム的なメッセージを込めるなど、かなり真面目にやってるのかも知れない。ラストのプロパガンダ映像は真面目なのかヴァーボーベンのスターシップトゥルーパーズ的皮肉なのか判別不能だし、この作品で描かれる昔ながらの男性マッチョヒーローをトレースしたような強い女性像が今作におけるフェミニズムの指標だとすれば、世界にバカが倍増するヴィジョンとしか思えず辟易しちゃったりもする。あとグレムリンに関しても、作り手の意図がどうであれ、時代背景やゼロ戦と交戦中という状況から考えると、どうしたって黄色人種のメタファーに見えてしまうというのもある、などと作り手が一体何を真面目に考えているのかよく分からないところも含めて目が離せない映画だった。あと飛行機上でのバトルもコナン(未来少年のほうね…)オマージュみたいで楽しかった。