一作目を読んでそのまま二作目に行くつもりも絶版状態だったのだが、ちょうど復刊していたので購入。ノンフィクションと虚構の合間を縫うような実話怪談話というのはそのままだが、今作は主人公の逡巡からヒロイックな決断という構成などフィクションとしての体裁が整っていて、かなりオーソドックスなエンターテイメント的作り。とは言え、私小説のようにウジウジと小市民的に振る舞う主人公の造形や、忌まわしい記憶とともに虚構に侵蝕してくる震災のイメージなど虚実の狭間ならではの表現が効果的で、一作目に続いてこちらも面白かった。