ストーカー男に警察権力を笠に家族を奪われて、更にはその身内にボコボコにされるという普通に考えたら復讐の正当性を最も獲得している男が1番の敵役という時点で感情移入の置き所が無くて困った。 兄弟仁義の話なのに描く対象を拡大しすぎで焦点がボケて無駄に長尺、70年代再現も上手いとは思うが、ちょっと食傷気味、というかあまり意味を感じない、出所したワルが更生しようとするが社会の風当たり厳しく再び犯罪へ、という話と、ワルの立身出世伝の二段組の物語も、どちらもあまりにステレオタイプ。クライマックスのカーチェイスも微妙にぬるい…。
と、散々悪く書きながら、鑑賞後、段々味わいが来る感じも実はあった。ダラダラやった果ての善悪の彼岸を越えた潔い幕切れが、独特のムードを映画に与えていたのかな。クライブ・オーウェンも良かった。