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Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

新感染 ファイナル・エクスプレス (2016・韓)

   自己中心的な性格のファンドマネージャー、ソグ(コン・ユ)は釜山で別居中の妻に会わせる為、幼い娘スアン(キム・スアン)を連れてソウル駅から釜山行き高速鉄道KTX101号に乗り込む。しかし列車には人間を凶暴化させる謎のウィルスに感染した女が乗り込んでおり、感染は車内に爆発的に拡大していった。ソグとスアンは感染者の襲撃から生き残る為、屈強な好漢サンファン(マン・ドンソク)と妊娠中の妻ソンギョン(チョン・ユミ)、車内ではぐれた恋人ジニ(アン・ソヒ)を捜す高校生ヨングク(チェ・ウシク)らと疾走する車内を逃走するが、感染者だけでなくバス会社の常務ヨンソク(キム・ウィソン)に扇動された乗客たちとも敵対し、状況は悪化の一途をたどっていく…。

監督:ヨン・サンホ、脚本:パク・ジュソク、撮影:イ・ヒョンドク、美術:イ・モグォン、特殊メイク:クァク・テヨン、ファン・ヒョギュン、振り付け:パク・ジェイン、特殊効果:デモリッション、編集:ヤン・ジンモ、音楽:チョン・ヨンギュ。

 

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   大掛かりな仕掛けと物量を仕切って盛り上げるクオリティの高さは凄かったし、ストレートなアクションとして申し分ない映画だった。なので以下はゾンビ映画として期待してガッカリしてしまった個人的な感想。

 

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   まず走るゾンビは風情がないな、というのを改めて実感した。ただ今作は突っ走る列車と合わせてノンストップアクションにするなら走るゾンビのほうがマッチするだろうし、そもそも感染した人間という設定だからゾンビじゃないのかもしれないので一応納得。にしてもゾンビ(感染者)の動きがいちいちダサくて、特に時々キメるポーズがバカっぽいのはテンションが下がった。ロメロのビシッと決まったゾンビの佇まいと比較しちゃうのは酷だが、もう少し無機質の怖さを感じさせて欲しかった(死んでないけど)。

 

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   それと父娘のドラマがジャンル映画としての高まりを阻害しているように感じたが、臓物も出てこないし、巨大娯楽映画としてゾンビをやるためのギリギリのバランスということか。しかしその父娘ドラマが個人的にはあんまり響いて来なくて、他人のことを思いやらない現代人の典型的な、というより類型的なキャラクターである主人公が死線をくぐり抜けていくことで他者を慮るようになっていくという有りがちな展開はジャンル映画として妥当なストーリーだと思うが、いまいち本人には届いていないながらも主人公は初めから娘のことは大事に思っているし、物語が進行しても主人公が思いやるのは最後まで自分の延長である娘と身内化した仲間だけなので、そこでの感動的な盛り上げには涙の押し売りを感じてしまった。身内が大事なのは利己的な人間こそより強力だったりする訳で、そこを単純に愛として見せるのではなく、愛があるからこその葛藤や残酷さを合わせて見せつられるのがゾンビ映画の醍醐味だと思うんだけど。例えば感染した身内への対応を試されるとかバス会社の常務を赦すとかもっとエモーショナルな展開は可能だったと思う。

 

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    でもそれはゾンビ映画を期待してのガッカリなので、ガッツ溢れるマン・ドンソクには燃えたし、バス会社常務の小物ぶりも素敵だったりとキャラクターの面白さもあったので変なこだわりを持たずに臨めば全然面白い映画だった、といういのは冒頭に書いた通りで、よりゾンビ映画的だという前作に当たるアニメーション映画『ソウル・ステーション パンデミック』は観てみたいと思った。

 

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『新感染 ファイナル・エクスプレス』予告編 - YouTube 

 

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ものんくる / 世界はここにしかないって上手に言って

    素晴らしい楽曲と圧倒的なボーカルでこれまで同様にハイクオリティな作品。今回は楽曲がコンパクトにまとまっていて、『ものんくる』らしさは少し薄まっている気もしたが、より歌謡曲とか普遍的なポップスに近づいた傑作だと思う。

 

ものんくる / ここにしかないって言って 【MV】 - YouTube

 

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収録楽曲
1.Driving Out Of Town
2.空想飛行
3.SUNNYSIDE
4.花火
5.Birthday Alone
6.ここにしかないって言って
7.時止まる街
8.二人
9.透明なセイウチ
10.最終列車 君を乗せて
11.the dawn will come

Homecomings / SYMPHONY

   欧米のバンドでも今ではほとんど見当たらないような真っ当なインディーギターポップぶりは変わらずでイイ。似たようなリフが聴こえるというのもあるけど、ピュアな爽やかさはちょっとガールズみたいで、それも良かった。

 

Homecomings "PLAY YARD SYMPHONY"(Official Music Video) - YouTube

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発売日 2017/8/5
収録楽曲
1. PLAY YARD SYMPHONY
2. SLACKER
3. PAINFUL
4. WELCOME TO MY ROOM
5. PLAY YARD SYMPHONY (BUSHMIND Remix)

 

 

台風クラブ / 初期の台風クラブ

    全曲バラエティに富んでいて楽しい。オザケンがロックンロールやってるみたいな曲もある。センスがいいのにちゃんと粗野な感じがあるのも好き。ジャケットを昔の学生風みたいなのじゃなくて、今っぽいスタイルでやってくれるともっと嬉しい。

 

発売日   2017/8/23

収録楽曲

1. 台風銀座

2. ついのすみか

3. ずる休み

4. ダンスフロアのならず者

5. 相棒

6. 春は昔

7. 42号線

8. 処暑

9. 飛・び・た・い

10. まつりのあと 

台風クラブ/台風銀座 - YouTube

台風クラブ/春は昔 - YouTube

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エル ELLE (2016・仏)

   ゲーム会社を経営するミシェル(イザベル・ユペール)は自宅に侵入してきた覆面の男に暴行を受ける。しかしミシェルはその後もプライベートでは放蕩息子のヴァンサン(ジョナ・ブロケ)へ恋人ジョジー(アリス・イザーズ)との関係に注文をつけたり、会社では敵意を持った社員たちの意見をねじ伏せたりといつも通りの日常を続けていた。そして別れた夫のリシャール(シャルル・ベルリング)、親友でビジネスパートナーのアンナ(アンヌ・コンシニ)、その夫ロベール(クリスチャン・ベルケル)たちとの食事の席で暴行を受けたことを淡々と報告しつつ、ミシェルは部下たちも含めて暴行犯探しを開始する。そんな中、ミシェルは隣人で敬虔なクリスチャンの妻(ヴィルジニー・エフィラ)を持つパトリック(ロラン・ラフィット)に惹かれていくのだったが…。
監督:ポール・ヴァーホーヴェン、脚本:デヴィッド・バーク、原作:フィリップ・ディジャン、音楽:アン・ダッドリー、撮影:ステファーヌ・フォンテーヌ。

 

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   誰もが一皮剥いたら醜悪だという人間観を貫きつつもそれを糾弾するので無く妙に格調高い画面の中で達観して描き、それをサスペンスへと昇華して洗練されたバーホーベン映画になっていた。

 

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   主人公のイザベル・ユペールは颯爽とした格好良さはあるのだが64歳とは思えない人間離れした容姿と相まって安易な共感を寄せ付けない存在感。バーホーベン映画なのにシャブロルの上質なフランス産サスペンスのような格調高さがあったのは彼女の存在に依るところも大きかった。

 

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   悪いことしたやつが悪い、被害者が善人、などという単純化した図式ではなく、ひたすら人間の多面性や、狂気との紙一重、というより誰もが狂気を内包していて、その発現が紙一重だという視点からの人物への距離感が絶妙で、他者を躊躇なく利用し親友への裏切りにも悪びれない主人公をそれでも魅力的に描けているのも凄かった。

 

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   そして登場人物全員が戯画的であるのにリアルで生々しく、なかでも隣人の奥さんは怖過ぎて、ほとんどホラー映画。それでも風情と余韻を残す格調高さで、バーホーベンの暴力性(下品さ?)がフランスの洗練に程よく中和されてちょうどいいバランスに着地した傑作だった。

 

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映画『エル ELLE』WEB限定予告編 - YouTube

 

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ワンダーウーマン (2017・米)

    神により外界から隔絶され守護された女性だけのアマゾン族の国。超人的な能力を内に秘めた王女ダイアナ(ガル・ガドット)は女王ヒッポリタ(コニー・ニールセン)やその妹で最強の戦士アンティオペ(ロビン・ライト)らに大切に育てられてきたが、ドイツ軍に追撃されて偶然に結界を越えて島に不時着した米軍のスパイ、スティーブ・トレバー(クリス・パイン)を救ったことから外界の戦乱を知る。その原因がアマゾネスの宿敵たる戦いの神アレスによるものだと確信したダイアナは、スティーブとともに周囲の反対を押し切り第一次大戦の渦中にある欧州へと向かうのだったが…。
監督:パティ・ジェンキンス、製作、原案:ザック・スナイダー、原案、脚本:アラン・ハインバーグ、撮影:マシュー・ジャンセン、美術:アリーヌ・ボネット、編集:マーティン・ウォルシュ、衣装:リンディ・ヘミング、音楽:ルパート・グレグソン=ウィリアムズ。

 

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   小四の娘と鑑賞。娘は『スパイダーマン ホームカミング』より面白かったと言っていたので、それだけでOKだったんだけど、一応個人的な感想だけ。

 

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    無駄に大仰なテンポと暗い画質のDC伝統芸が健在だったので映画の半分は退屈だったんだけど、見た目と経歴が怖いだけにギャップ萌え抜群の主演のガル・ガドットはカッコよくて最高だった。彼女じゃなければ今回のコスチュームはただのギャグにしか見えなかったかも知れない。映画の端々で女性の権利に対する問題意識が垣間見えたりすることもあって、女性が監督した女性主役のヒーロー映画という文脈がクローズアップされてたりもするけど、今作の肝はこの頃のDC映画の中ではズバ抜けて主人公がちゃんとカッコ良かったという点だったな、とも思った。

 

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    その他のキャラクターに関しては、ダイアナ=ワンダーウーマンを助ける愚連隊の面々(チャーリー(ユエン・ブレムナー)、サミーア(サイード・タグマウイ)、酋長(ユージーン・ブレイブ・ロック))や、スティーブの秘書エッタ(ルーシー・デイビス)など脇のキャラクターが楽しくて良かったし、クリス・パインも主演で見るより好きだった。敵役のルーデンドルフダニー・ヒューストン)、マル博士(エレナ・アナヤ)、それに大ボスは作り手側も特に掘り下げる気や興味が無さそうで、印象薄かった。

 

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    あと戦闘シーンがいつものザック・スナイダーのアクションみたいで、そこらへんはザック・スナイダーが口出しや手出しをしたのか、何なのかというのはあったし、ラストバトルは酷かった。ラストバトルは押し寄せるドイツ軍に対して劣勢となったワンダーウーマンたちの元にアマゾネス軍団が駆けつける大バトルを勝手に期待していたので残念だったんだけど、そこは続編でやってくれんかな。

 

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映画『ワンダーウーマン』本予告 - YouTube

 

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ベイビー・ドライバー (2017・米)

    幼い頃、事故で両親を亡くし自身も耳鳴りが止まない後遺症を負った青年ベイビー(アンセル・エルゴート)は闇社会の男ドク(ケヴィン・スペイシー)の車を盗もうとしたことを契機に犯罪者の逃亡を助ける「逃がし屋」として働くようになる。耳鳴りを消すために常にイヤホンでお気に入りの音楽を流しながら天才的なドライビングテクニックで仕事をこなすベイビーだったが、運命の女性デボラ(リリー・ジェームズ)との出会いもあり、ドクへの借金も完済したことで闇社会から足を洗う。しかしベイビーの才能を惜しむドクは養父(CJ・ジョーンズ)やデボラの安全を盾に彼を再び「逃がし屋」の仕事へ引き戻し、バディ(ジョン・ハム)、ダーリン(エイザ・ゴンザレス)、バッツ(ジェイミー・フォックス)ら旧知の犯罪者たちとの大仕事へ向かわせるのだった。

監督・脚本:エドガー・ライト、撮影:ビル・ポープ、プロダクション・デザイン:マーカス・ローランド、編集:ポール・マクリス、ジョナサン・エイモス、音楽:スティーヴン・プライス、衣装デザイン:コートニー・ホフマン。

 

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    冒頭からジョンスペが爆音で流れてテンション上がったんだけど、正直最近ではジョンスペのこととかすっかり忘れていて、聴き返すことすら無くて、今回久々に映画で流れてきてやっぱり最高だ、となった。そういうところを突いてくるエドガー・ライトは流石だ。多分観たり聴いたりしてきたものが近いんだろうな、とアジカンのゴッチとかと並んで勝手にシンパシーを感じるところだけど、どうして似たようなものを享受してきながらそんなにセンスが良くてクリエイティブな感性まで備えられるんだろう。びっくりだ。とは言えAshからシャーロットが脱退したのはエドガー・ライトがちょっかい出したからじゃないかというのがあるので、4人Ashが最高だったと今でも考えている身としてはちょっと複雑な思いもあるんだけど。

 

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    そして今作はそんなエドガー・ライトのセンスが冴えまくった選曲と偏執的なまでにそれにシンクロさせた映像が全篇に渡って施されていて、その成立過程を想像すると気が遠くなるほどだった。メジャーでやっても自分のやりたいことをオタク的に徹底してやり通してちゃんと期待に応える離れ業。初期の好きにやってた頃は過去のことにしてハリウッドのバイプレイヤーとして生きているサイモン・ペグとかは今でも好きだけど、やっぱりセレブになっちゃったよなーと思ってしまうが、エドガー・ライトはブレずにやってくれていて、それだけでも嬉しい。

 

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    主役のアンセル・エルゴートはベイビーという名に相応しい可愛い顔立ちとそれに似合わぬゴツさがあって、子供時代の事故で時間が止まってしまった主人公のアンバランスさと見事に合致したキャスティングだと思った。高田純次みたいなジョン・ハムの2枚目なのに怪しいおじさん感も良かった。フリーたちミュージシャンの起用も役に合っていて良かったが、母親役のスカイ・フェレイラのおばちゃんぶりはCDジャケの容姿と違い過ぎてビビる。ちなみにジョン・スペンサーは出てると思ってなかったので全く気づかなかった。

 

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   主人公が自らの罪を意識すらせず(なので町で悔い改めよと叫ぶ浮浪者の声も、罪に自覚的な犯罪者ジェイミー・フォックスの声も全く心に響かない)自分の世界にだけ閉じ籠った状態からデボラとの出会いや全くの第三者である郵便局の女性を生きた人間として認識していくことで殻から抜け出してちゃんと罪を贖うストーリーも気持ち良かったし、iPodに加えてカセットテープを重要なアイテムとして出してくるところも流行りに乗ったのではなくホントに好きでやっているというのが理解出来るので好感が持てて、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『ハイ・フィデリティ』と並ぶミックステープ愛を感じさせてくれた。

 

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   あと武器密売人がポール・ウィリアムズだったのは最初は見ていて誰だったっけ…と失礼な反応をしてしまったが、しかしスワン様を出すならもうちょっと大きな扱いでも良かったのにな、とは思った。とは言えこれは個人的には今年のベスト3入り間違いなしの傑作だ。

 

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映画『ベイビー・ドライバー』予告編 - YouTube

 

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