2014-07-31 ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)/伊藤 計劃 書籍 「虐殺器官」にも内包されていた「個人の意思」と「社会」というテーマをより拡げたミステリ仕立てのSFエンターテイメントで、読み易く且つ読み応えがあった。惜しいのは結末に向かって展開が急ぎ足になり、大きな物語だったものが、個人が世界を左右するような物語になってしてしまうところだが、そこに至るまではかなり面白かった。導入部の閉塞感漂う青春モノの雰囲気やキャラクターの不思議な姓名には「七胴落とし」等の神林作品の、中盤までの作り方はパト〜攻殻辺りの押井守のテイストもあった。