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yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

フォックスキャッチャー(2014)

    ベネット・ミラー監督作品。1996年に実際に起こったデュポン財閥御曹司によるレスリング五輪金メダリスト射殺事件の映画化。


     資金不足の中、次期大会に向け鍛錬の日々を過ごすレスリングのロス五輪金メダリスト、マーク・シュルツ(チャニング・テイタム)。そんな彼の元に大富豪の御曹司ジョン・デュポン(スティーブ・カレル)より金メダル獲得へ向けての資金提供及び彼の私有地を練習場として提供するという申し出がなされる。マークは長年彼の保護者兼理解者として行動をともにしてきた同じ金メダリストである兄デイブ・シュルツ(マーク・ラファロ)の庇護を離れ単身デュポンの用意した練習場フォックスキャッチャーへと赴く。しかし屈折した精神を抱えたデュポンとの邂逅はマークと、のちにフォックスキャッチャーへ合流するデイブ、そしてデュポン自身の運命を大きく変えることになるのだった…。

    また実話映画か、という気分で鑑賞開始するも、ガタイのいいチャニング・テイタムが猫背でわびしくカップ麺をすくったり、無関心に見つめる子供達の前で講演する姿など、金メダリストなのに極貧かつ情けないマークの日常描写で序盤からグイグイ引き込まれた。そして兄デイブ登場シーンではマークとの組手練習だけでその強さと人格者ぶりが伝わってきて、更には兄弟の関係性まで浮き彫りにする演出と演技にやられた。

    そしてジョン・デュポン=スティーブ・カレルの登場。評判が高いのは耳にしていたが、噂に違わぬ異質な存在感。そしてカメラが彼の内面に決して踏み込まず、淡々と冷徹に映し続けることで稀有なキャラクターの創造に成功していた。

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     その主役3人のキャラクターの仕上がりで実話物としてだけなら充分と思ったが、本作はそれ以上の重層的な面白さがあった。レスリングの組手場面を呼吸音やアイコンタクト、艶かしい手探りの動きなどで性的に見えるように演出して、同時に殺し合いの競技として死の匂いも濃厚に漂わせて映画全体に性と死の匂いを充満させたり、デュポン家の武器商人としての歴史を垣間見せ、個人が起こした一事件からアメリカという国家の歩みまで透かして見ようとしたり、という試みが映画的厚みを持たせて、単なる実話ものを超えた面白味があった。

    それにしても実際の事件を、しかも当事者がまだ存命のうちに、まるで見てきたかのように実写化するというのは、極めてドキュメンタリーチックなだけにどうなんだろうという気はしたりするけど。しかし面白かったからいいのかな。


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