設定はおろか誰が仮面ライダーなのかもよく分からないままに見始めて、結局ラストまで理解出来なかったのだが、どうも時間跳躍や時空の歪みなど色々あって今作の初期状態になっているらしいというところに勝手に奥行きを感じて面白がっていたというのもある。
あと設定は分からずとも現代と過去の両方で鬼と仮面ライダーが戦っているというストーリーはシンプルなので、初心者にも分かりやすくて助かった。そのシンプルな物語の軸となるのがユウという少年の成長譚で、演じているのが沢木ルカという女の子なのも爽やかでいい。コハナ役の松元環季や溝口琢矢など他の子役も良くて、全体的に少年冒険映画テイスト色濃く楽しかった。
他のキャストでは敵役の鬼兄弟を篠井英介、柳沢慎吾が演じていて、お約束として柳沢慎吾が『あばよ』を言わされているのだが、それ、この前見た『仮面ライダードライブ』の映画でも言ってたな…。『ドライブ』での『あばよ』は今作を受けての台詞だったのか、とりあえず柳沢慎吾を出したら言わせとけということなのか。そもそも今の子供たちに『あばよ』がギャグとして通用するのかという素朴な疑問も浮かぶが…。
あと見どころとしては冒頭の田舎町で展開するアクションが新鮮で、いつもの街中や荒地ではない場所で異形の人物たちが走り回る画面は映画ならではの特別な味わいがあった。そしてそこに登場するCG電車。バカにしていたのに長閑な田舎町の中空にレールを敷いて現れてくるCG電車を背景にした景色はSF的情緒があって良かったよ…。やはり先入観はよくないとあらためて思い知らされた。