yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

夜は短し歩けよ乙女 (2017・日)

     京都、四条木屋町。大学OBの結婚祝賀会に参加していた「黒髪の乙女」(花澤香菜)は酒と大人の世界への憧れを満たす為にひとり夜の先斗町へ向かう。乙女は夜の街で中年男・東堂(山路和弘)や大学の変わり者・樋口師匠(中井和哉)、その恋人(?)羽貫さん(甲斐田裕子)らと出会いながら、謎の富豪李白麦人)との呑み比べや古本市巡り、学園祭に参加するなど、とても一晩と思えない長い夜を過ごしていく。そしてそんな乙女を恋慕いながらも積極的に踏み出せないでいた「先輩」(星野源)も彼女の後を追い、何とか思いを伝えようと奮闘するのだが…。
監督、絵コンテ:湯浅政明、脚本:上田誠、キャラクター原案:中村佑介、キャラクターデザイン、総作画監督:伊東伸高、音楽:大島ミチル、アニメーション製作:サイエンス SARU。

 

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    ヒロイン乙女が幻想的な京都の夜をずんずん歩いて行く映像は、独特の美術とキャラクターの動きのテンポ、演じる花澤さんの声質が絶妙にハマって、ずっと見ていたい気持ち良さだった。それだけの映画でもよかった。湯浅監督のハイテンションでふざけたサイケデリックな演出と中村佑介のキャラクター、不思議な映像にトレースされた夜の京都、アジカンの主題歌、それらが見事に融合してエンターテイメントの枠を外すことなく独自の世界を提示していて、擬似酩酊出来る楽しさに満ちた映画だった。

 

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    で、映画が楽しかったので後追いで原作も読んでみた。映画版では「黒髪の乙女」の歩みが停滞する三幕目辺りが監督の真骨頂とも言えるサイケデリックで派手派手しい場面が多く繰り広げられるものの少し退屈に感じたり、「黒髪の乙女」の物語と思ってみていたら「先輩」のこじらせ恋愛という小さな物語で収束していくクライマックスを唐突に感じたりもしたが、原作では「先輩」の視点と心情変化が丁寧に織り込まれていたので「黒髪の乙女」「先輩」双方の物語として納得出来る流れになっていて、ナルホドとなった。しかしそれを一夜の物語に凝縮して幻想性を拡大しつつエッセンスをまとめて再構築した映画版の作り方にも同時にナルホドと納得出来て、結論としては原作、映画版ともに良かった、となった。

 

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    あと映画版のほうは鑑賞後、時間が経過するにつれて、呑み比べや詭弁踊りなど「黒髪の乙女」の巡った夜の京都の幻想的イメージがジワジワ頭の中を侵食して、また映画世界に浸りたいな〜という気分になってくる中毒性が強烈にあって、これはやはり傑作だ、と改めて思った。

 

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『夜は短し歩けよ乙女』 90秒予告 - YouTube

 

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