第2次世界大戦の最中、イギリス政府とチェコスロバキア亡命政府がナチス高官ラインハルト・ハイドリヒを暗殺すべくヨゼフ(キリアン・マーフィ)、ヤン(ジェイミー・ドーナン)ら7人をナチス占領下のプラハへと送り込む。元より無謀な計画であることに加えてハイドリヒ一人を暗殺することが占領下のチェコの状況をさらに悪化させるだけではないのかという懸念を持つ仲間たちも少なくなく、ヨゼフとヤンもそれぞれ現地の協力者レンカ(アンナ・ガイスレロヴァー)マリー(シャルロット・ルボン)と恋仲になることで迷いが生じていた。それでもヤンたちはプラハ内のハイスター(トビー・ジョーンズ)率いるレジスタンスと協力して計画を進め、遂に暗殺を実行するのだが…。
監督、脚本、撮影:ショーン・エリス、脚本:アンソニー・フルーウィン、美術監督:モーガン・ケネディ、編集:リチャード・メトラー、音楽:ロビン・フォスター。
ドキュメンタリータッチでナチス占領下のチェコをリアルに描きながらも同時に幻想的色彩の映像で全編悪夢の中にいるような感覚も表現された物語の歴史的な重さに相応しい世界観が素晴らしかった。
事件そのものの描き方も、英雄譚としての側面と愚行による惨禍の記憶、そのどちらとも感じとることが出来るギリギリのバランスを保っていたので、変なノイズ無しに没頭することが出来た。
中でも暗殺決行場面は緊張感が溢れていて、キリアン・マーフィの松田優作ばりの狂気演技も良かった。