yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

君の名前で僕を呼んで (2017・伊、仏、ブラジル、米)

   1983年の夏、父のパールマン教授(マイケル・スタールバーグ)の仕事の関係で家族で北イタリアの避暑地で過ごす17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)。彼の家にアメリカからやってきた大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)がインターンとして宿泊することになり、ともに美しく才気に溢れた2人は同性でありながらも激しく惹かれ合っていく。しかし夏の終わりとともにオリヴァーはアメリカへ戻ることが決まっていて…。

監督:ルカ・グァダニーノ、脚色・プロデューサー:ジェームズ・アイヴォリー、原作:アンドレ・アシマン、撮影監督:サヨムプー・ムックディプローム、編集:ウォルター・ファサーノ、プロダクション・デザイン:サミュエル・デオール、衣装デザイン:ジュリア・ピエルサンティ、美術監督:ロベルタ・フェデリコ。

 

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    若さと美しさのみならず金と時間、理解のある大人たちと友人たちをも持っている少年の青春映画で、普通に考えればどうでもいい話ではあるんだけど、全てが美しく作られた彫刻のような作品なので、それはそれでちゃんと心に響く映画だった。特にスフィアン・スティーヴンスの歌は反則なぐらい名曲で、おかげで映画のきらめきが倍増していた。美しい風景と音楽、美形でしか成立しない世界で、『モーリス』のジェームズ・アイヴォリーが脚本とは言え、同性愛がどうとかはあんまり関係ないのかな、とは思った。終幕近くに父親がエリオに語るアドバイス&自分語りは多分感動的な場面として用意されているのだが、なんかそれも異性愛や同性愛ということ関係無しに今一緒にいるパートナーに対しての失礼な態度に思えたが、まあ奥さん(アミラ・カサール)も理解してそうだから別にいいか。

 

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アーミー・ハマーが!『君の名前で僕を呼んで』日本語字幕予告編 - YouTube

 

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Stephen Malkmus & The Jicks / Sparkle Hard

   そんなに変わってないんだけどなぜかペイヴメントみたいな脱力感を感じない、というか凄い直球ど真ん中な感じがするのはローファイ的な感覚が寧ろ王道で、基本になってしまったからなのか。どちらにしても相変わらず良かった。

Stephen Malkmus & The Jicks - Sparkle Hard: The Supercut - YouTube

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発売日  2018/5/18

収録楽曲

1. Cast Off

2. Future Suite

3. Solid Silk

4. Bike Lane

5. Middle America

6. Rattler

7. Shiggy

8. Kite

9. Brethren

10. Refute

11. Difficulties / Let Them Eat Vowels

ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫) / 辻村 深月

    それこそアニメになりそうな濃いめのキャラクターや連作それぞれと全体での綺麗な起承転結で、サクッと楽しめた。仕事小説的にみんな頑張っていて素晴らしいという姿を見せられたり、登場人物同士の相関関係が物語としてまとめる為だけに整えられていたりする作りは引っかかったが、舞台がアニメ業界で登場人物たちや作中作品のモデルを想像する楽しみがあるので相殺かな。天才監督として登場する王子千晴は幾原邦彦がモデルかなとか思って読んでたら謝辞に一番に名前が挙がっていておかしかった。

 

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殺人出産 (講談社文庫) / 村田 沙耶香

   『世の中』で自明のこととして幅を利かせる男女間のモラルや性の常識、さらには生死に関わる価値観までを、特に抑圧を受け続けてきた女性の側から揺さぶりをかける部分がかなりストレートで、SF小説として読んでいると少しゲンナリとなりつつも、そこが道徳観の揺らぎと気色悪さを醸し出して各作品を貫く独特のデストピア風情を作り出してもいたので、そこは同時に作品の魅力ではあった。ただ個人的にはもう少し突飛な設定に屁理屈でリアリティを与えてSFにしてほしいとは思った。

 

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鳥―デュ・モーリア傑作集 (創元推理文庫) / ダフネ・デュ・モーリア著、務台夏子訳

    拡張高さとダークな雰囲気が味わい深く、映像でしか出せないショック表現を駆使したヒッチコックの映画版とは全く異なる印象の表題作『鳥』を始め、SF的展開が楽しめる『モンテ・ヴェリテ』『裂けた時間』、幻想的な『恋人』『番』『林檎の木』、ミステリー調の『写真家』『動機』など、どの短編もツイストが効いていて楽しかった。特に簡潔な文章で単純に善悪に振り分けられない人物像を活写して、その人物たちが持つ少しの秘密や弱さなどの僅かな心の隙間から事件や物語を拡げていく語り口が読んでいて快感だった。そしてどの作品も根底に抑圧された怒りのようなものが感じられて、それが作品集全体に不穏なムードを与えているように思えた。

 

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GODZILLA 決戦機動増殖都市 (2018・日)

    地球奪還のためゴジラを倒したハルオ(宮野真守)、ユウコ(花澤香菜)ら人類とメトフィエス櫻井孝宏)、ガルグ(諏訪部順一)ら異星人による地球連合の志願者たちだったが、超巨大ゴジラの出現により敗退を余儀なくされる。しかし負傷したハルオたちはマイナ(上田麗奈)、ミアナ(小澤亜季)という双子の巫女を始めとする謎のヒューマノイド種族「フツア」に助けられる。そして彼らフツアの持つ金属がかつての対ゴジラ決戦兵器メカゴジラを構成したナノメタルと呼ばれる物質であることが判明し、さらにはメカゴジラの開発プラントも健在であることが分かり、その力によって不可能と思われた巨大ゴジラとの再戦も現実味を帯び始めるのだが…。

監督:静野孔文瀬下寛之、ストーリー原案・シリーズ構成・脚本:虚淵玄、シリーズ構成、脚本:村井さだゆき、脚本:山田哲弥、キャラクターデザイン原案:コザキユースケ、造形監督:片塰満則、コンセプトアート:川田英治、プロダクションデザイン:田中直哉モデリングスーパーバイザー:中島吉紀、エフェクトスーパーバイザー:田中洋平、美術監督渋谷幸弘、音楽:服部隆之、アニメーション制作:POLYGON PICTURES。

 

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    冒頭から主人公が延々と独り言で状況説明を始めて萎える。前作の続きからのスタートで状況把握がしにくいところへの配慮ではあるんだろうけど、何でこの人は不自然な台詞喋っているんだろうと気になって逆に物語世界に没入出来なかった。CGのキャラクターも前作同様にやっぱり違和感があった。実際ゲームの『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』とかで操作しているキャラクターみたいな印象を受けたんだけど、同じくCGを主軸にしていても『宝石の国』はCGの滑らか過ぎる動きを逆に気持ち良さに繋げていたりしたので、そこはCGが駄目だというわけではなくて、キャラクターの動かし方、画面の見せ方の問題だろう。

 

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    物語自体は機械が生命を取り込んでいくサイバーパンク的設定(というか神林長平的設定)、怪物を倒す為に自らも怪物になっていくというベルセルクな展開などいかにも虚淵玄っぽくて楽しいが、『モスラ』まで視野に入れた本家踏襲や、強い奴の上にまた強い奴が出てくるジャンプ的展開など分かりやすさを押し出したこともやっていて、怪獣プロレスをやらないんならもっとハードSFに寄ってくれよ~とは思った。あと映画の構造が前作とほぼ一緒というのもちょっと退屈過ぎると思った。『フォースの覚醒』みたいに旧作との間隔が何十年と空いているなら分かるけど。

 

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    しかしヴァルチャー(スーパーロボットみたいなやつ)がびゅんびゅん飛び回り、火炎が画面を埋め尽くし、ゴジラが光線をぶっ放す大破壊映像は気持ちが良くて、ちゃんと次もスクリーンで観たいとは思った。あと花澤さん(ユウコ)はヒロインじゃなかったんだな…。アニメはやっぱりヤオイと幼女なのかと痛感したよ。というのは置いといても、ユウコはもう少し嫌なやつという方向でもいいからキャラクターが強力だったらクライマックスの盛り上がりが違った気がした。勿体ない。

 

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『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告 - YouTube  

 

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悪女/AKUJO(2017・韓)

    幼い頃父親を殺されたスクヒ(キム・オクビン)は犯罪組織の幹部ジュンサン(シン・ハギュン)に拾われ、殺し屋として成長する。いつしか育ての親ジュンサンに恋心を抱いたスクヒは彼と結婚するが、その矢先ジュンサンは敵対組織に殺害され、スクヒは逆上し単身で敵組織壊滅という復讐を果たす。その後国家組織に拘束されたスクヒはジュンサンの忘れ形見である娘ウネ(キム・ヨム)の存在もあり、国家の下すミッションを10年間こなせば自由の身になるという条件を飲んで政府直属の暗殺者として第2の人生を歩み始めることとなる。そして新生活を始めたスクヒの元へ上司クォン幹部(キム・ソヒョン)の命を受けた監視役のヒョンス(ソンジュン)が近付くのだが、互いに身分を偽ったままの2人は惹かれあっていく。そんな中、とある暗殺指令でスクヒが銃口の先に見出したのは、死んだはずのジュンサンであった。

監督・製作・脚本・アクション指導:チョン・ビョンギル、脚本:チョン・ビョンシク、製作総指揮:キム・ウテク、撮影:パク・ジョンフン、アクション指導:クォン・ギドク。

 

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    冒頭からヤバイ!楽しい!とかしか頭に浮かばないまま終わってしまい、感覚的には『バーフバリ』や『マッドマックス  怒りのデスロード』なんかに近いものがあった。話はどうでもよくて、次はどんな映像見せてくれるのかというワクワクだけで成り立っていて、最高だった!

 

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    なので物語は整合性とか理屈は抜き。こんなアクションシーンを見せたい、こんな感情の溢れるシーンにしたい、という願望に沿った展開が用意されるのみ。ただしそこの見せ方はアクションにおいてはあらゆるアイデアを詰め込んで凄まじいものなっているし、物語も時間軸をいじってなんとなくミステリ仕立てにしていて飽きさせることがない。ウェディング衣装で狙撃!路線バスで肉弾戦!主観映像のゲームみたいにやる!ニキータ的なことやる!女囚ものやる!悲恋、裏切り、色々詰め込む!というような妄想の数々をことごとく具現化。結果とにかく楽しい作品になっていた。

 

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映画『悪女/AKUJO』予告編 - YouTube

 

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