もう冒頭の豚の貯金箱を取り出すくだりだけで凝りまくっていて笑える。ウォレスがグルミットにプレゼントするテクノズボン(自走式散歩ロボ)のくだらなさも凄い楽しいのだが、部屋の中で走っている鉄道模型などと同様にきっちり後で重要な役回りになったりするので気が抜けない。
しかし何と言っても今作はペンギンのキャラが秀逸。可愛いのに不気味な表情の作り方が凄い。台詞一切無しで余すことなく不気味な来訪者ぶりを表現していた。一緒に観てた娘はこのペンギン、なんかイラつく顔だと言ってたし、息子はペンギンが出てくるとびびって目を閉じてた。ペンギンがメジャー(巻尺)をワイヤー代わりに使う斬新なアイデアも良かった。
そしてグルミットが疎外感からウォレスの家を出て行く際の悲しみの雨が、不気味なホラーの荒天へと変調するダイナミズムに盛り上がり、その後のグルミットの探偵ぶりは影の使い方も素晴らしいフィルムノワールのムードを堪能させてくれる。
最後のグルミットVSペンギンの列車アクションも笑いと迫力が見事なバランスで展開していき大満足だった。