yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

傷物語Ⅰ 鉄血篇 (2016)

  「人間強度が下がる」という理由で友達を作らず孤立して学校生活を送っていた高校二年生の阿良々木暦(神谷浩史)は、同級生で優等生の羽川翼堀江由衣)と偶然に友人になる。彼女から吸血鬼の噂をきいたその夜、暦は地下鉄のホームで血まみれの美女(坂本真綾)を発見する。美女は自らを吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードであると名乗り、自分を助ける為に暦にその血を差し出すよう要求するのだった…。総監督新房昭之、監督尾石達也、脚本構成東冨耶子、新房昭之、脚本制作木澤行人、中本宗応、作画監督守岡英行、山村洋貴、美術設定武内宣之、アニメーション制作シャフト。

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    作画に関しては凄まじいクオリティで、残り2作も今作同様60分程度の尺だとしたら(さらにこのクオリティを維持しているならば)、ちゃんとまとめて一本の作品として提示していればとんでもない映画になっていたんじゃないかと思わせる気合の入った映像だった。それだけに息抜きというかメタアニメ的な効果を踏まえた上で時折繰り出される、テレビシリーズではそれなりの面白さとして機能していたデフォルメされたシーンが邪魔に感じられる箇所もあったりはしたが、圧倒的なデザインと色遣いの中で気持ち良く動いていくアニメーションならではの快感は今作以外では得難いものがあった。

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    しかし物語としても映画としてもあまりにもプロローグに過ぎて、ひとつの作品としては評価のしようが無い作りなのは商売上の要請かも知れないが独立した作品として失敗だと思った。物語に不要なキャラクターと社会環境が徹底的にオミットされた作りはテレビシリーズ同様だが、テレビシリーズではそれが演劇的見せ方を取り入れたように装いながら、物語を語る記号としてのアニメに特化させてノイズをキャンセルした状態で気持ち良さだけをオタクに届けるという機能性の追求に効果を発揮していたものの、ストーリー自体がほとんど動いていない今作ではデザインと雰囲気だけで構成された奇形な作品に感じられて、それはそれで面白いとは言え映画として完結したものを見せてほしかったという気分にはなってしまった。まあオタクだから次を楽しみに待ちはするんだけど。
 
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