女性と少年たちだけが住む奇妙な島。そこでは少年たちが目的不明の医療行為を施されていた。ある時、そこで暮らす少年ニコラ(マックス・ブラバン)は素潜りで遊んでいた際に海底に沈む男の死体を発見する。母親(ジュリー=マリー・パルマンティエ)にそのことを告げるが信じてもらえないニコラは、その事件をきっかけに段々と島社会への違和感を覚え始める。やがて病院に入れられたニコラだったが、他の少年たちとは違う様子を見せる彼に対して看護師のステラ(ロクサーヌ・デュラン)が興味を示し始める…。監督、脚本:ルシール・アザリロヴィック、脚本:アランテ・カヴァイテ、撮影:マニュエル・ダコッセ、美術:ライア・コレット、音楽:ザカリアス・M・デ・ラ・リバ、ヘスス・ディアス。
大人へ変化していく少年の姿をSFとして描いているようにも、性差を超越した存在の探求のようにも見える物語自体はけっこう退屈だったが、気色の悪さと美しさを同時に描写した海の捉え方や皮膚に吸盤のようなものが浮かび上がる怪奇人間の質感など、映像そのものは観ていて楽しかった。
全体の雰囲気、画面の質感も含めてまるで実相寺昭雄演出回のウルトラシリーズのようなSF感で、更にはデヴィッド・リンチやクローネンバーグ、もしくはアベル・フェラーラの『ボディ・スナッチャーズ』のようなイメージもあって、新鮮味は無いもののちょっと懐かしさを感じさせられる、作り手の趣味が滲みまくった珍妙SFの味わいもあった。これがもっとホラー寄りの演出だったらかなり好きになっただろうな、とは思った。
映画『エヴォリューション』予告編 (short ver.) - YouTube