yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

一度きりの大泉の話(河出書房新社)/ 萩尾望都

 竹宮惠子との訣別などシビアな内容も含まれていたが、上品さと素っ頓狂な可愛らしさの中にクリエイターとしての我の強さが垣間見える語り口調の文体に萩尾望都の漫画世界と同様のムードが感じられて心地良く読めた。本人は大泉時代をトキワ荘になぞらえられる事に怒り気味の否定をしていたし、これで当時の出来事を掘り返す作業を終わりにさせたいとも語っていたが、しかし本作はもう一つの『マンガ道』としてすこぶる面白いし、天才たちの伝説により一層興味を抱かせる内容だと思った。そして何よりあれだけ繊細な作品を描いておきながら、相手の心の機微をあまり感じ取れない萩尾望都の天才キャラぶりが一番興味深かった。

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