2021-11-07 中世社会の基層をさぐる (山川出版社)/勝俣鎭夫 書籍 前方に未来を見るという現代の認識が中世のある時期から始まったものであり、それまでは前方に過去が拡がっていたという精神構造のシフトに関する一章のSF的な思考や、中世までは家そのものに人格を見て社会が動いていたという民俗学を援用した諸星大二郎的エンターテイメントのような2章の見立てが興味深く、面白かった。それらの根拠となる部分はちょっと飛躍してはいるのだけど、その発想の飛躍自体が中世の生活に根ざした歴史の論考という本筋部分よりも個人的には楽しかった。