上中下巻、一気に読んでしまった。面白い!幻想・怪奇、恋愛小説から宗教論、宇宙に至るまで、あらゆる要素を豊富な見識と見聞、奇抜なアイデア、超絶の構成力によって空前の入れ子構造の物語に仕上げた傑作だった。地理歴史的背景まで詳細に網羅した訳註も含めて翻訳者の仕事も凄い。第五、第六デカメロンまで来ると構造や人物の相関関係に理解が追いつかなかったりもするのだが、エピソード単体での楽しさが勝っていて全然問題ない。面白すぎるので欲張りな願望とは分かりつつより怪奇色の強そうな一八〇四年版も訳して欲しいと願わずにおれない。読みた過ぎる!