yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

ヒッキーヒッキーシェイク (ハヤカワ文庫JA) / 津原 泰水

    なんか話題に乗って読んだみたいでヤなんだけど、たまたま少し前に『バレエメカニック』読んで面白かったから別のSFも読んでみようと思ったところにハヤカワから文庫が出るとなったら読むでしょう!(つーか、むしろ文庫出版に関わる諸々は作品を汚すから忘れたい)。で、本作は『バレエメカニック』と比べると文体も含めて想像していたよりストレートかつ痛快なエンターテイメントで、文章によるイメージの構築よりもメッセージとキャラクターの熱を伝えることに特化して構築されたような印象を受けた。登場人物たちのその後への想像が止まらないところも小説世界に浸れたからこそだが、中でも主人公の竺原がホントにカッコ良くて、もっとこの物語を読み続けたかったと思わせてくれたので、主人公の動機がイマイチよくわからんとかは別にいいかな、という感じ。

 

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ハウス・ジャック・ビルト (2018年・デンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン合作)

    建築家に憧れる技師にして連続殺人鬼のジャック(マット・ディロン)はヴァージ(ブルーノ・ガンツ)という謎の男に自身の殺人遍歴について語り始める。

監督・脚本:ラース・フォン・トリアー、原案:イェンレ・ハロンラース・フォン・トリアー、製作:ルイーズ・ヴェス、撮影監督:マヌエル・アルベルト・クラロ、編集:モリーマレーネ・ステンスガード。

 

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    トリアーの面白さは性格の悪さじゃなくて映像の新鮮さだったのに今作でも初期のような幻想的でカッコいいシーンは登場しなかった。というよりもむしろ非現実的場面が安っぽくて、もういい加減観なくてもいいかなという気分になったが、つまらない訳でもないので困る、という感じ。

 

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   道徳観念優先の映画界のモラルを試すような露悪的な表現を芸術至上主義に重ねて物申す的態度は、徒手空拳の若手お笑い芸人が常識に反することを言うと笑えるが、大物になってもそれやってると単なる威圧にしかならないのと同様に、かつてのトリアーがやるのならパンク的アティチュードと感じるだろうけど、すでに大物感のあるトリアーがやっちゃうと醜悪に感じる。

 

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    それでも映像としての面白さが堪能出来ればアリなんだが、終盤の地獄巡りのイメージは冗談なのかな、という紋切り型で、実際ふざけてる可能性も高いんだが、やっぱり物足りない。しかし俳優陣はマット・ディロンの怪演をはじめ、ユマ・サーマンやライリー・キーオも良かった。で、ストーリーテリングの妙や適度なユーモアもあるものだから、それなりに面白く観られてしまうというところが評価に困るところだな。

 

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『ハウス・ジャック・ビルト』予告編 6/14(金)公開 - YouTube

 

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響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏 (宝島社文庫) / 武田 綾乃

   前作は青春小説として面白く読んだけど、今作ではコンクールでの演奏シーンの盛り上がりから結果発表までの緊張感が凄くて音楽小説としての醍醐味も味わえた。またもや楽しかったなー。

 

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響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ (宝島社文庫) / 武田 綾乃

   遂に原作に手を出してしまった…。アニメ版はじっとりとした人間関係の軋轢をキラキラした作画で浄化した具合がちょうど良くて、そこらへんが原作小説ではどうなっているんだろうと思っていたけど、キャラクター主体の物語でありつつ個人に焦点を絞り込まない俯瞰視点の語り口と、簡潔にさり気なく織り込まれた京都の情景描写から受ける感触は、活字での心理描写で湿度はやや高いものの、アニメ版に非常に近かった。原作小説ですでに青春群像劇として完成されてたんだなーと分かったし、面白かった。逆に京都アニメーションが見事に映像化したというのも改めて分かって、読んで良かった。続きも読んじゃうな。

 

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魂のゆくえ (2017年・米)

   牧師トラー(イーサン・ホーク)は息子を戦争で亡くした心の傷を抱えたままニューヨーク州北部の小教会ファースト・リフォームドで務めを果たしていたが、ある日のミサの後、信徒のメアリー(アマンダ・セイフライド)に夫マイケル(フィリップ・エッティンガー)の話を聞いてほしいと頼まれる。環境活動家のマイケルは地球の未来を憂いていて、メアリーのお腹の中にいる子を産むことに反対しているのだという。マイケルの相談に乗ったトラーは自身が所属する教会が環境汚染の原因を作っている企業から巨額の支援を受けていることを知り、社会への不信と憤りを募らせ、心の均衡を失っていく…。

監督・脚本:ポール・シュレイダー、撮影:アレクサンダー・ディナン、編集:ベンジャミン・ロドリゲス・Jr.、美術:グレース・ユン、衣装:オルガ・ミル、音楽:ラストモード。

 

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    狂気と死に蝕まれていく過程をじっくりと描いていく、監督の脚本作品『タクシードライバー』でのトラヴィスの物語を再構築したような映画だった。しかし『タクシードライバー』では、トラヴィスが暴力に傾いていく過程とその行為が鮮烈でカッコよく、カタルシスすら与えてしまっていたのを、今作のトラー牧師はひたすら鬱々と悩み、アクションとしてのカタルシスもなく、主人公が英雄視されるような誤解も与えずに、それでも救いがあるようにも見える結末になっていて、これは再構築というよりも落とし前かな、とも思えた。なので地味と言えば地味なんだけど、確実に死や、暴力の連鎖、救いについて年月分だけの熟考を重ねた重厚さと味わいのある作品になっていた。

 

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「魂のゆくえ」予告編 - YouTube

 

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運び屋 (2018年・米)

    家族を顧みず、デイリリー栽培の名人として仕事一筋で生きてきたアール(クリント・イーストウッド)は時代の流れで菜園を失い、元妻のメアリー(ダイアン・ウィースト)や娘のアイリス(アリソン・イーストウッド)とも疎遠で孤独な90歳の老人になっていた。そんな時、孫娘ジニー(タイッサ・ファーミガ)のパーティに顔を出したアールは出席者のひとりから車で荷物を運ぶだけの簡単な仕事を持ちかけられる。話を引き受けたアールだったが、それはコカインを街へ運ぶ麻薬カルテルの仕事だった。アールは組織のボス、ラトン(アンディ・ガルシア)の送り込んだ監視役フリオ(イグナシオ・セリッチオ)らを飄々とした魅力で懐柔しつつ順調に仕事をこなしていくが、麻薬取締官のベイツ捜査官(ブラッドリー・クーパー)らの捜査網は確実にアールに迫っていた。

監督、製作:クリント・イーストウッド、脚本:ニック・シェンク、製作:ティム・ムーア、クリスティーナ・リベラ、ジェシカ・マイヤー、ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス、撮影:イブ・ベランシェ、美術:ケビン・イシオカ、編集:ジョエル・コックス、衣装:デボラ・ホッパー、音楽:アルトゥロ・サンドバル。

 

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   家族をないがしろにしてきたことへの贖罪として仕方なく運び屋をやる、みたいなストーリーかと思いきや全くそんなことはなく、飄々として軽やかな老人がやっぱり好き勝手に儲けの良い仕事に邁進するという展開や、退役軍人の頑固爺さんと思わせつつも現代的価値観にわりと柔軟に対応しちゃうチャーミングなキャラクターを嬉々として演じているなど相変わらず新鮮さを保持したクリント・イーストウッドが微笑ましく楽しかった。

 

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   そもそもこんな作品を演出かつ主演出来る老人なんてイーストウッド以外に居ないだろうというだけでも歴史的作品な気もしたが、その上で軽やかで楽しいのが良かった。積み重ねてきた功績の重さを徹底してまとわないのも意図的か天然かわからないが凄かった。

 

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映画『運び屋』特報【HD】2019年3月8日(金)公開 - YouTube

 

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ブラック・クランズマン (2018年・米)

    1970年代半ばのアメリカ・コロラド州コロラド・スプリングス。街で初めての黒人刑事となったロン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は潜入捜査官として活躍。その中でブラックパンサー党の幹部でもあるパトリス(ローラ・ハリアー)と親密になり、人種問題に対し、より直視する日々を送っていた。そんな中、白人至上主義を掲げる秘密結社KKKへの潜入捜査を白人刑事フリップ(アダム・ドライバー)とともに開始し、ロンは幹部ウォルター(ライアン・エッゴールド)らの信頼を得て、組織のトップ、デビッド・デューク(トファー・グレイス)に辿り着く。しかし組織の構成員、フェリックス(ヤスペル・ペーコネン)は捜査に気づき始めていて…。

監督・製作・脚本:スパイク・リー、原作:ロン・ストールワース、脚本:チャーリー・ワクテル、デイビッド・ラビノウィッツ、ケヴィン・ウィルモット、製作:ジェイソン・ブラムジョーダン・ピール、撮影監督:チェイス・アーヴィン、美術:カート・ビーチ、音楽:テレンス・ブランチャード、編集:バリー・アレクサンダー・ブラウン、衣装:マーシー・ロジャーズ。

 

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   それぞれのシーンが凄く凝っていて気合い入ってるし役者も最高。『國民の創生』を引用したりでその危険性に十分留意しつつも社会的主張をそのまま娯楽にしてしまう手腕が凄くて、対立の不毛さを見せつつ徹底してレイシストの醜悪さを映し出して双方平等に見せるなどという日和見主義とは無縁の熱いメッセージも強烈。そんな中でジョン・デヴィッド・ワシントンとアダム・ドライバーの飄々とした佇まいが映画に柔らかも持たせていて、堅苦しさは全く感じさせない。政治性と娯楽をハイレベルで融合させた、スパイク・リーの本気が伝わってくる痛快な作品だった。

 

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BLACKkKLANSMAN - Official Trailer [HD] - In Theaters August 10 - YouTube

 

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