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yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

哭声 コクソン (2016・韓国)

    殺人事件などとは無縁の平和な村で男が家族を惨殺する事件が発生。その後も村では類似の事件が続発、犯人は一様に錯乱状態となり湿疹や皮膚のただれの症状を見せていた。原因はキノコによる幻覚症状として片付けられたが、村の警官ジョング(クァク・ドウォン)は日本人の怪しい中年男(國村隼)が村にやって来てから事件が発生しているいとう噂を耳にして独自に調査を開始し、事件の目撃者を名乗る謎の女(チョン・ウヒ)の証言も得て、男の犯行を確信していく。そんな中、ジョングの娘(キム・ファニ)にも湿疹が表れ、よそ者の男を悪霊と見做したジョングは娘を救う為、祈祷師(ファン・ジョンミン)を雇い悪魔祓いを依頼するのだが…。
監督・脚本:ナ・ホンジン、撮影:ホン・ギョンピョ、編集:キム・ソンミン、プロダクションデザイン:イ・フギョン、音楽:チャン・ヨンギュ、タルパラン。

 

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    ミステリー映画やオカルト映画、ゾンビ映画など様々なジャンル映画としての面白味があって、そのどれもがハイクオリティな出来栄えで俳優陣も良かった。主人公の人は『アシュラ』で物凄く怖い演技見たばかりだったのだけど、ここでは田舎の警官にしか見えなかったし、同じく悪徳市長やってたファン・ジョンミンも全然別人になっていた。國村隼はいつもの佇まいのままで褌一丁になっていたりして、異物感が凄かった。

 

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    オカルト方面では悪魔憑きの少女とエクソシスト(今作ではシャーマン)の対決の構造が『エクソシスト』そのもので、少女が思春期特有の不安定さを顕在化させる伏線がほのぼの家族描写の中で両親の情事を覗いてしまったりするコメディタッチで示唆されているなど巧みだった。感染者(?)襲撃シーンはほぼゾンビ映画で、そこでの特殊メイクなどもちゃんとホラーになっていて面白かった。

 

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    作品の構造としては、村人が殺人者に変容する原因を健康食品に混入していた毒キノコの成分によるものかも知れない(ここでも韓国社会におけるコンプライアンスの問題を示唆)とか、よそ者である日本人が極悪人なのかも知れないとか、本当に悪魔の仕業なのかも知れない、というような多重のボヤかしを入れつつ、登場人物たちに語らせる真実的なもので巧みに観客をミスリードさせていく仕掛けになっていて、その全てを疑心暗鬼とリテラシーの問題など映画のテーマ的なものへと繋げていきつつストーリーを推進させていく監督の社会派的な問題意識が滲み出た作りになっているのだが、観ているこちらとしては國村隼が村人の噂通りの極悪人なんてことは余程の反日映画でない限りあり得ない、というのは当然分かっているし、単純に悪魔が悪さしているなんてことも考えられないので、分からないことを分かった上で延々と真相の可能性を提示され続けるという抜けの悪さも感じてしまった。

 

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   そのことで『アシュラ』や『お嬢さん』にあった混沌とした熱量のほとばしりが抑制されていたとも思うのだが、これはそういう映画だし、全篇ハイクオリティの映像と演出に引き込まれて韓国映画界の地力を見せつけられもしたので、やはり傑作であることには違いない。何より裸の國村隼が徘徊する森林描写は幻想的な風景として好きだったな。

 

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映画『哭声/コクソン』予告編 - YouTube

 

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