yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

ボーはおそれている (2023年・米)

 何事にも不安を感じてしまう病的な心配性を抱えた中年男ボー(ホアキン・フェニックス)は、その原因を作った高圧的な母親(パティ・ルポーン)が突然怪死したことを知り、現実と妄想の入り混じった世界の中、急ぎ帰郷しようとするのだが…。

監督・脚本:アリ・アスター、撮影監督:パヴェウ・ポゴジェルスキ、プロダクションデザイナー:フィオナ・クロンビー、編集:ルシアン・ジョンストン、音楽:ボビー・クルリック、劇中アニメーション:ホアキン・コシーニャ、クリストバル・レオン。

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 『ヘレディタリー 継承』は箱庭的に構築された世界とそれに見合ったイメージが嵌め込まれていて面白かったが、続く『ミッドサマー』は『ウィッカーマン』とか好きなんだろうなという、雰囲気先行の微妙な作品だった。なのでアリ・アスター監督をちゃんと追うべきかどうかは今作次第かな、と思いながら観に行ったが、結論から言うと鑑賞しながらずっと「『ハイキュー!』観に行けば良かった!」という後悔の念が湧いてくる辛い3時間だった。

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 冒頭から主人公ボウの見る世界は「妄想で拡張された現実そのものではない世界」という作りで、そこでボウが右往左往したり危険な目にあったりしていても全くサスペンス的な面白さは感じられない展開なのだが、ただただ全編それが続いていくのはなかなか辛かった。ほぼ無いに等しいストーリーの中をひたすら続くイメージの垂れ流しを観ていると、イメージだけで構成されたような映画で面白い映画を撮れるのはリンチやクローネンバーグ、トリアーみたいな変態的な天才だけなんだろうな、ということが改めて分かってしまった。そこそこのエグさとスタイリッシュな見せ方のイメージ映像というとロックバンドのミュージックビデオみたいなんだけど、それなら3分でお腹いっぱいなんだよな。繰り返される血族の支配とか露悪的な展開にも特段の深みは感じられないので、この監督は感覚的な作品ではなく、ちゃんとプロットや世界観を作り込んだ作品をやるべきなんじゃないのかという余計なお世話的感想しか出てこない。どうも最近そんなのが多い気がするんだが。

24/2/16公開『ボーはおそれている』ショート予告 - YouTube

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