ラストマン(アレックス・コックス)から密命を帯びた謎の戦士が荒廃した大地に降り立ち、異形の生物たちがうごめく異常な世界を冒険する姿を描いたストップモーションアニメによる作品。
監督・製作:フィル・ティペット、撮影: クリス・モーリー、作曲: ダン・ウール。
『ブラックパンサー』の新作観るかな〜と時間調べるためにネット見てたらフィル・ティペットの映画やってて、しかも塾のお迎えまでに観れる!となって行ってきた。しかし最近ほんとに情報収集能力ゼロだわー。名探偵コナンしか見てないからか。
で、作品は懐かしさの込み上げてくる全編悪夢映像でティペット版『ファタスティックプラネット』というような地獄巡り映画で、フィル・ティペット本人が監督だからこそのクリーチャー愛がひしひしと伝わってきた。
何か新しいことをやっている訳ではないが、とにかく細部までのこだわりが凄い。クリーチャーたちもこれまでにフィル・ティペットが関わった作品に登場してきたものと同じ系統の馴染み深いデザインなのだが、この作品の世界観の中でこそ、その質感やグロテスクな部分、時折垣間見える愛らしさが際立っていた。
そしてこの映画の手作り感溢れる地獄のような世界観と質感には子供の頃に怖々うしろから覗き見ていたCG隆盛以前のホラー映画のビデオを思い出させられたのだが、いまの時代にこの感触の作品を作れたというのが凄い。スピルバーグやルーカスはもちろん、クローネンバーグやピーター・ジャクソンもこの手触りの作品を今作ることは出来ないだろうと思った。あと実写パートにアレックス・コックス出てるのもパンク風味を醸し出していてノスタルジー感増してた。
なので作品として面白いかどうか、というのは別として、見事に具現化された強烈なイメージの連続を堪能させてもらえただけで満足だし、この作品を観た誰もが『マッドゴッド』とは、この狂気の世界を構築したフィル・ティペット本人のことやん、と思うだろう。という訳で、いいもの観させていただきました!という感想。偶然観られて良かった!