yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

魂のゆくえ (2017年・米)

   牧師トラー(イーサン・ホーク)は息子を戦争で亡くした心の傷を抱えたままニューヨーク州北部の小教会ファースト・リフォームドで務めを果たしていたが、ある日のミサの後、信徒のメアリー(アマンダ・セイフライド)に夫マイケル(フィリップ・エッティンガー)の話を聞いてほしいと頼まれる。環境活動家のマイケルは地球の未来を憂いていて、メアリーのお腹の中にいる子を産むことに反対しているのだという。マイケルの相談に乗ったトラーは自身が所属する教会が環境汚染の原因を作っている企業から巨額の支援を受けていることを知り、社会への不信と憤りを募らせ、心の均衡を失っていく…。

監督・脚本:ポール・シュレイダー、撮影:アレクサンダー・ディナン、編集:ベンジャミン・ロドリゲス・Jr.、美術:グレース・ユン、衣装:オルガ・ミル、音楽:ラストモード。

 

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    狂気と死に蝕まれていく過程をじっくりと描いていく、監督の脚本作品『タクシードライバー』でのトラヴィスの物語を再構築したような映画だった。しかし『タクシードライバー』では、トラヴィスが暴力に傾いていく過程とその行為が鮮烈でカッコよく、カタルシスすら与えてしまっていたのを、今作のトラー牧師はひたすら鬱々と悩み、アクションとしてのカタルシスもなく、主人公が英雄視されるような誤解も与えずに、それでも救いがあるようにも見える結末になっていて、これは再構築というよりも落とし前かな、とも思えた。なので地味と言えば地味なんだけど、確実に死や、暴力の連鎖、救いについて年月分だけの熟考を重ねた重厚さと味わいのある作品になっていた。

 

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「魂のゆくえ」予告編 - YouTube

 

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