文明の激突というだけでもデカい物語なのに、それがそれぞれ異なる時間の流れ同士の文明だというとんでもない大風呂敷の展開をケレンとハッタリでわりと一本道なエンタメとして押し通す力技が爽快で素直に楽しかった。作中の文明の衝突は全体主義国家vs洗練された中国というイメージで、その末路と解決策はかなり無茶苦茶とは言え70年代に書かれたことを考えるとわりと未来予知的とも思えたりもした。ともかく奔放なイメージを小説に落とし込んで読ませてくれるというSFを読んで感じられる喜びのひとつは確実に満たされる作品だった。