20年ぐらい積読していたのを漸く読了。この本を貰った時、分かる人間は読み始めると納得と自己の考えの肯定を得て止まらなくなるし、分からんやつは一向に読み進められないと言われたが、僕は明らかに後者。しかも神秘主義には不信しかない。それでも一片の真実はあるのかもと思わされる密度で心理学との親和性を感じさせるグルジェフの思想(妄想?)が展開されていて、結局面白く読んだ。もっとも構築された独自の世界観や煙に巻くように展開される理論(この部分は理数に明るい人に精査して欲しい気もする)をSFとして楽しんだ部分が大きいが。あと、グルジェフを持ち上げてリスペクトしかないように描きながらも器の小ささや誤魔化しが時折垣間見えるのもちょっと面白かった。もっともそこは、のちに袂を分かったゆえのウスペンスキーの計算かも知れないが。