前作を踏襲した上でもっとシリアスに仕上がっていると期待してたが、どちらかと言うとアベンジャーズ寄りのお祭り映画だった。そういう意味ではちょっと肩透かし気味だったが、これはこれで楽しかったし、マーベル映画でありアメコミ映画であることを考えれば前作のシリアス路線を突き詰めることなくある種の能天気さに振ったのはバランス感覚として正解で、マーベルとしてもかなり意図的にやっていると思った。それはアントマン(ポール・ラッド)、スパイダーマン(トム・ホランド)というネアカなキャラクターをそれぞれの陣営に配していることにも表れていた。
で、とにかくアクションが凄かった。各ヒーローのキャラクター性と特殊能力を存分に披露しつつ、各々の組み合わせでの攻撃を繰り広げてていて、とにかく燃えた。肉弾アクションとCG技術が超ハイレベルで融合していて、こんな超能力バトルが観たかったんだよな〜という子供の頃の気持ちを具現化してくれたかのような映像が展開していた。こういうアクションの外連味は前作の内容に沿ったリアルな殴り合いモードだと上手く出なかっただろうな、というのも感じたので、やはり今回の方向性は正解か。というわけで今作はアクションだけで十分満足だった。
ストーリーの方は、アイアンマンにしてもキャプテン・アメリカにしても言い分があるのは分かるが別に世界を巻き込んで大ゲンカすることはないだろうというのに加えて、彼らに従うことになるヒーローたちに至っては戦う理由が更に稀薄なので、結果ヒーロー同士のバトルは本気度の低いパフォーマンスの見せ合いみたいになっているのだが、後半、アイアンマンとキャプテン・アメリカの悲愴なガチバトルを見てると悲しくなってきたので、ヒーロー同士の対決は基本緩くてちょうど良かったな、と思ったりもした。それと、両陣営にアメリカの正義のメタファーを見て云々みたいなこともあるんだろうけど、キャプテン・アメリカに武装する自由も含めた正義を象徴させたり、などというところまでは作り手も多分考えてなさそうだし、そこはアメコミなんだし…というエクキューズ有りで観ておきたい、というのが個人的感想。
あとはやはりヒーローたちの馴れ合いぶりが楽しくて、キャプテン・アメリカがエージェント13(エミリー・ヴァンキャンプ)とキスしてるのを狭い車中で見ているウィンター・ソルジャーとファルコン(アンソニー・マッキー)がニヤニヤしている場面とか最高だった。新登場のスパイダーマンやブラック・パンサー(チャドウィック・ボーズマン)、アベンジャーズ初参加のアントマンなどそれぞれにもちゃんと見せ場があり(ホークアイに関してはシリーズを通しての一貫性の無さが際立っとるが)、肩透かし食らったとか言いつつ存分に楽しんでしまった。