二部構成の利点を生かして、主役3人の恋と友情という縦軸を置きつつ、良い意味でテレビドラマ的にその他のキャラクターたちそれぞれにも焦点を当てながら青春物、チームスポーツ物の醍醐味や題材であるカルタそのものの魅力を語る幅も持たせた作りで、お腹いっぱいになったし楽しかった。さらに今作の第一部を太一の成長物語として独立した一本の映画として完結させており、散漫さも感じなかった。
主人公の千早は情熱がほとばしりすぎた美少女というマンガでなければ存在自体が危ういキャラクターだが、広瀬すずがズバ抜けた美少女ぶりとそこに同居したあどけなさで劇映画の主人公として成立させていたのもマンガ実写化の成功要素として大きかった。渾身の白目演技は笑えるし、それでも可愛いというのが凄かった。
一見地味な競技かるたの試合をハイスピード撮影を駆使して激しいアクションとして演出していたのも観ていて飽きさせないし、カルタの札を取りに行くことと実人生で何かを掴みに行くことの意味を重ねてみせるような、題材と物語とをリンクさせて編み込んだ脚本も丁寧で好感が持てた。この手の類型化された部活物(?)って大体面白いけど、中でも今作は特に面白かった。
あと『仮面ライダードライブ』映画版で主人公進ノ介の息子役をやってた千葉真一の息子(真剣佑)が出てて、次作『下の句』では多分もっと出番増えるだろうし、松岡茉優も出てくるからキャストの面でも続編が楽しみだよ。