yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年・米)

 1920年代、隔離政策によりオクラホマ州の辺境に追いやられた先住民族のオーセージ族は石油の利権により偶然にも富裕層となっていた。その富を虎視眈々と狙う地元の白人有力者・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)の元へ帰還兵の甥・アーネスト(レオナルド・ディカプリオ)が身を寄せる。アーネストはオーセージ族の娘モリー(リリー・グラッドストーン)と恋に落ちるが、ヘイルはそれを利用してオーセージ族の富を搾取しようとアーネストを操っていき、その謀略は様々な暴力を生み出していく。

監督・脚本・製作:マーティン・スコセッシ、脚本:エリック・ロス、撮影:ロドリゴ・プリエト、美術:ジャック・フィスク、編集:セルマ・スクーンメイカー、音楽:ロビー・ロバートソン。

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 娘と観てきた。上映時間も結構長いから観るかどうか悩んだが、場合によっては劇場でスコセッシの新作を観るという機会がラストかもという思いもよぎったので鑑賞したら傑作だった。フレッシュで、まだまだ作品撮りそうだから最後なんてことは無さそうな勢いだった。

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 娘は結局のところディカプリオが何をやりたいかサッパリ分からんかったという感想を述べていたけど、ホントにそんな映画だった。その場その場で流されて、保身の為だけに行動する小さな人間のどうしようもなさ、ほとんどそれだけを描いていて、しかし何気ないやりとりのひとつひとつがそれぞれの思惑を何層にも含んでいるからスリリングで、演出、演技、編集の力と相まって、時間を感じさせない面白さだった(とは言えもう少し短くして欲しかったが)。

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 それにしてもディカプリオ演じる主人公のダメっぷりは徹底していて、叔父に言われて糖尿病の薬に混ぜていた液体が本当に妻の身体を楽にする何かだと、愚かさから信じていたのかも、少なくとも妻という他者だけは本気で大事にしていたのかも、という観客の淡い期待を最後の最後に裏切る最低なキャラクターでありながら、その脈絡のない行動にはどこか自分自身や自分の周囲の人間の姿が重なって、何ともいたたまれなくなったり、自省を促されてしまったりさせられた。

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 あと、デ・ニーロ。凄い役者なのにわりと何でも出演するから、最近では相対的に何となくエッジを感じなくなっていたけど、スコセッシと組むと迫力が違って、ディカプリオとの新旧スコセッシ組の演技合戦は見応えがあった。それとブレンダン・フレイザーも良かった。ハムナプトラの頃から今までに色々あったらしくて容姿もすっかり変わっていたけど、かつてのヒーロー的な佇まいと愛嬌に加えて、その裏側に仄暗さも感じさせる雰囲気をまとっていて、個人的にちょっと思い入れのある役者でもあったので、今回の捜査官役のハマり具合は嬉しかった。

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 というわけで、わりと当たり外れのあるスコセッシ、今回は当たりの作品だった。次回作もあるかな。次は2時間無いぐらいの、コンパクトにギュッと締まった作品を観たいところだが。

映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ファイナル予告 - YouTube

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