yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

ジョーカー (2019年・米)

 貧富差が拡大し不穏な雰囲気のゴッサムシティ。アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は精神疾患を抱えつつ道化師として薄給を得ていた。世間の冷たさを感じながらも同居する母親ペニー(フランセス・コンロイ)の介護をしながら憧れのコメディアン、マレー(ロバート・デ・ニーロ)の番組を楽しみにするような慎ましやかな暮らしだったが、ある時、同僚から貰った銃で酔っ払った証券マン3人を射殺してしまう。しかし事件は彼に高揚感を抱かせ、ソフィー(ザジー・ビーツ)という恋人も得る。そんな中、母親の手紙から自分が大富豪トーマス・ウェイン(ブレット・カレン)の落胤である可能性を知ったアーサーは真相を探るが、その過程で彼は残酷な事実を目の当たりにしていき、狂気を暴走させていく…。

監督・共同脚本・製作:トッド・フィリップス、共同脚本:スコット・シルバー、撮影:ローレンス・シャー、美術:マーク・フリードバーグ、編集:ジェフ・グロス、衣装:マーク・ブリッジス、音楽:ヒルドゥル・グーナドッティル。

 

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 評判通りにホアキン・フェニックスの演技が凄くて、わりと似た系統の役をやっているイメージなのに毎回その作品の人物としか感じさせない完成度は驚異的。デ・ニーロの使われ方もスコセッシ作品からの反転という感じで感慨深かった。さらに映像もかっこよく、どのシーンにも趣きがあって映画的だった。

 

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 なので面白く観たのだけど、社会から疎外された人物の悲哀と狂気を掘り下げるほどにバットマンヴィランであるジョーカーの前日譚設定との齟齬が拡大していく感覚、つまりジョーカーの映画である必要が無いんじゃないかという気分と、それに伴う珍品風味も感じはした。ジョーカーというキャラクターの描かれ方は千差万別で、別に正解は無いだろうけど、虐げられた者のカリスマ的存在っていうイメージはピンと来ないし(それはペンギンの役回りじゃない?)、そもそも今作で描かれた世界観にスーツでコスプレしたヒーローが登場する余地があるとは思えなかった。コミックだったらならアリだろうけど。

 

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 妄想に取り憑かれて凶行に至る物語を被害者としての復讐の正統性をそれなりに保持しつつ私刑の醜悪と英雄性の中間を縫って描くのは『タクシードライバー』にも通ずるところだが、最後に〈ジョーカー〉になりましたって着地点でガクッとさせられた、という感じか。そのジョーカー爆誕の部分が丸々妄想でした、という風にとれなくもないので、これはこれでいいのかな、とも思ったが。

 

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