BTS ／ BE (Deluxe Edition)

　まず、いつにも増してオマケが豪華。そして写真が印刷された盤面が韓流ショップの海賊版みたいで、それはそれで味。楽曲はいつも通り７人７様の声質とキャラクターを存分に堪能させてくれる作りと高いクオリティを保持していて、さらにはコロナ禍の現状もちゃんと反映している誠実な作り。個人的にはラップパートも多めな後半が盛り上がった。早くこの楽曲をパフォーマンスする姿を生で見たいよー。

BTS (방탄소년단) 'Dynamite' Official MV - YouTube

BTS (방탄소년단) 'Life Goes On' Official MV - YouTube

発売日　2020/11/20

収録楽曲

1. Life Goes On

2. Fly To My Room

3. Blue & Grey

4. Skit

5. Telepathy

6. Dis-ease

7. Stay

8. Dynamite

冷血（上・下） (新潮文庫) ／ 髙村 薫

　被害者と加害者の運命の交差路までの道程が綿密に描かれ、何気ないエピソードが物語としての事件の伏線となり、そうして発生した事件に現実の凄惨な事件を目の当たりにした時と同様の感情に襲われ、というところまでで犯罪小説として存分に面白いのだけど、そこから事件の事後処理と犯罪者たちの心の裡を合田刑事を観察者として淡々と描いていくことで犯人の動機、というより動機のわからなさ、他者の理解の出来なさを克明にしていき、分からないものを切り捨てることしかできない世界の冷血さを浮き彫りする、ジャンル小説にとどまらない作品だった。

安達としまむら9 (電撃文庫) ／ 入間 人間

　『安達としまむら』というよりは『日野と永藤』という方がしっくりくる、番外編的な一冊だった。物語としては前巻で決着済みということもあり、ここまで来るとサブキャラクターたちを色々と掘り下げてくれるのもファンサービスとしては嬉しくはあるけど、個人的には出てくる人全員が重要という建前を壊して、暴力的なまでに『しまむら』だけが突出して大事という安達の振り切りに魅力を感じているので、主役2人の成分が濃い展開を次巻に期待はしてしまう。

安達としまむら8 (電撃文庫) ／ 入間 人間

　最終巻というわけでもないのにエピローグというか作品世界の後日譚も見せてくれて、それは今後安心して都度都度のエピソードを楽しめる有難いサービスだった。（『グインサーガ』で悶々とさせられた身としては特に…）。で、修学旅行でのアレコレは、しまむらが周囲との折り合いの着地点を見つけつつ己の道を進む青春小説の清々しさがあって、かなり良かった。

安達としまむら7 (電撃文庫) ／ 入間 人間

　ゆるふわでイチャイチャしてるラブコメ（百合）小説の王道みたいな展開だけど、ここに至るまでの積み重ねと紆余曲折があるので、楽しさはひとしお。ヤヒロの存在も、箸休め的な効果だけでなく、安達としまむらの狭い世界の視野を時折り拡げて見せてくれてて、いいです。

安達としまむら6 (電撃文庫) ／ 入間 人間

　このまま2人の関係性はそのままに物語が続くと思っていたので、ちょっと意外な展開だった。物理的な距離は近づきつつも精神的距離は平行線を辿るのかなと思ってたが、しまむらの実家で飼っている老犬と安達をオーバーラップさせて、しまむらの安達への感情を新たにさせていくという展開で、なんなんだろうという感じも受けつつ、この小説らしいと思ったりもした。

安達としまむら5 (電撃文庫) ／ 入間 人間

　今作での安達の独占欲と依存ぶりの暴発はかなり病的で、軽くて楽しい物語はほとんど崩壊寸前、しかもその感情の発露を冷徹に受け流して否定するしまむらとの温度差は最高に広がっていく。それでも重くなりすぎることはないし、2人の関係性の行方も気になって、まんまと引き込まれていく。