yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! (2005)

    発明家ウォレスと愛犬グルミットは害獣対策屋として町中の人たちが毎年の楽しみにしている巨大野菜コンテスト用の野菜をウサギたちから守る役割を一任されていた。一度はウォレスの発明品でウサギたちを平和的に一掃し、町は落ち着きを取り戻すが、しかし巨大ウサギが現れ不安に襲われた町の人たちはウォレスたちに再度ウサギ退治を依頼するが…。ニック・パーク、スティーブ・ボックス監督作品。

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    オープニングタイトルから不穏な街の佇まいの凝りまくった画面作りで、短編から地続きで細部へのこだわりが溢れているのが伝わってくる。なので従来通りのグルミットの微妙なニュアンスを伝える表情の作り方、独創的な発明品とその使い道、それらのディテールの細かな造形といった面白さはそのままに、更に今回は長尺を活かしてフランケンシュタインの怪物、狼男といった古典的ホラー映画へのオマージュで目一杯楽しませてくれた。出動時の二人同時スタートしての乾杯までの流れも最高だし車両もかっこいい。巨大ウリ育てて愛でる姿、セクシーダンスなどグルミットの魅力も炸裂していた。

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    巨大ウサギの暴れまわるクライマックスではストップモーションアニメの金字塔キングコングを、同じくコマ撮りでなぞった大立ち回りで、シリーズの集大成的なグルミットの活躍と合わせて長編映画ならではの面白さがあった。もっとも膨大な情報量を20分に凝縮して提示してきた短編群に比べるとやや間延びした部分もあるけど、シリーズの長編劇場版としては申し分ない出来映え。

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   あとネタバレ。
   最後の、ウォレスがグルミットを守って高所から落下し、一度は命を失いかけるというシークエンス、実は最初に観た時は長編だからといってハリウッド的な盛り上げなんて必要ないんじゃないかと感じていたんだが、今回子供と改めて短編から見直していくと、散々ウォレスの無茶振りに振り回され続けてきたグルミットに対して、それでもウォレスがきちんと無償の愛情を持っていることを行動で示したことが素直に感動的だった。

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    ウォレスがグルミットを守る前に、グルミットが身を盾にしてウォレスを守っているのも重要で、このコンビが互いに信頼関係で結ばれていることをシリーズの最後の最後で見せてくれたのも大団円に相応しかった。もう続編はないのかなあ…?


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カーズ (2006)

     擬人化された車たちの世界。レーシングカーのライトニング・マックイーンはピストンカップでの優勝を目指して奮闘していたが、決勝戦へ向かう途中トラブルで田舎町ラジエータースプリングスに迷い込む。そこでマックイーンの自己中心的な心が町の純朴な車たちとの出会いによって変化していく物語。監督脚本ジョン・ラセター、共同監督ジョー・ランフト。

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    擬人化された車たちが一体どうやって日々を送っているのかどう脳内補完しても想像出来ないし、多分作り手も考えてないよな…というのが観ていてずっと気になって結局楽しめなかった。車だけの世界でガソリン食って生活しているのは分かるんだけど、なんで家があるのとか、ガラスはどうやって作っているのかとかそもそも繁殖方法はいかに、などなど余計な事柄が頭を駆け回る。
    夢を描いたようなシュールな世界でない限り、非論理的でも辻褄が合わずとも世界の成り立ちや理由付けは必要で、それが無い空虚な世界でどれだけエモーショナルなドラマを展開しても真実味は微塵も伝わってこない。

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    今回は子供と一緒に吹き替えで鑑賞したので、オリジナル版ならオーウェン・ウィルソンポール・ニューマン、さらにゲストでシューマッハが登場するといった声優の配役でニヤリとするとかあったのかも知れない(あっても評価は変わらんと思うが)。

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    しかし登場キャラのデザインは可愛い。我が家でも保育園児の息子は映画観る前からカーズのグッズは喜んで使っているし、そこら辺の展開はやっぱり流石だなとは思う。


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映画クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶ歌うケツだけ爆弾! (2007)

    野原家の愛犬シロのお尻に“ケツだけ星人”が落とした爆弾がくっついてしまった。地球を吹き飛ばすほどの破壊力を持つその爆弾を巡り、爆弾の爆発を防ごうとする宇宙監視センターUNTI(ウンチィ)と、爆弾をテロの武器として手に入れようとする美人テロ集団“ひなぎく歌劇団”が追跡劇を繰り広げる。そんな中、UNTIが爆弾をシロごとロケットに乗せて宇宙で爆破させようと計画していることを知ったしんのすけは、シロを連れて逃亡するが……。監督ムトウユージ、脚本やすみ哲夫

    テーマがシリアス過ぎてギャグとして楽しめないというのが1番辛かった。地球そのものと犬一匹の命を天秤にかけるという設定はやってるドタバタに対して重すぎるし、しかも特にそれに対して落とし前をつけるわけでもなく家族は大事という話で全てうやむやに終わらせるのはひどかった。

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    悪役の宝塚を模した歌劇団はその設定自体がギャグとして機能すると思っていそうなんだが全く笑えないし、シロの確保を目指すもう一方のウンチィという組織は別に悪の軍団というわけでなく極めて真っ当な行動原理によって動いているのだけど、単にそのリーダーが狂人というだけで無理矢理敵役に据えられているのもどうかと思った。

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    しかし冒頭宇宙人たちのお尻かじり虫をパクったような歌とダンスも子供騙しが過ぎるだろうと思ったが一緒に観ていた子供達は大喜びで早速真似を始めていたので実は子供映画としては全然アリなのかも知れない。


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六月燈の三姉妹 (2013)

    離婚調停中の奈美江(吹石一恵)は東京から実家である鹿児島の和菓子店「とら屋」へと戻ってくる。とら屋には離婚しながらも同居を続ける母(市毛良枝)と継父(西田聖志郎)、出戻った姉の静江(吉田羊)、妹の栄(徳永えり)がそれぞれに恋愛や生活の問題を抱えながら暮らしていた。そんなとら屋へ奈美江を追って夫の徹(津田寛治)がやってきて…。佐々部清監督作。

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    『海街diary』が素晴らしかったので、同じく美人姉妹が主役の今作に興味を惹かれたのだが、全く違った(当たり前だ)。

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   とにかく見ていてムズムズするところ続出だった。
    突然キャンディーズという単語が会話から出てきて、それが商店街のお祭りで三姉妹がキャンディーズを歌うシーンへ繋がったり、駅へ向かう津田寛治の背景から商店街のオヤジたちの飲み会へと移行させたりというのが、スムーズな場面展開だろうと言わんばかりなのだが、いかにも取って付けたような作りと物語としての意味の無さだけが印象に残る。
    そもそもいい歳して仲良く三人揃って地元の祭りでカラオケ歌うというのはどうなんだというのもある。
    エンドロールで表示される協賛団体からしても明らかに御当地宣伝映画でもある今作なのに、タイトルになっている六月燈がどんな祭りなのかも結局よく分からず、また映画に必要なすべての情報を喋ってくれる素朴ながらも噂好きというステレオタイプな商店街の地元民の描き方(井上順の役とか最低である)も、それでいいのかと。
    最終的な物語の解決自体、それ絶対幸せになれないだろうというような行為を平気でハッピーエンド的に見せてしまうとか(まあ鹿児島が保守的な地域であるということの自慢とも解釈出来るけど)観ていてモヤモヤが止まらない。

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     しかし出てくる人物の共感出来なさ加減(押しの弱さの中に強引さの見え隠れする絶妙な津田寛治の演技は楽しかった)や面倒くささ、三姉妹のビジュアルを見ていると、見た目から物語まで理想的なファンタジーである『海街diary』の対極をいくリアルな家族物語と言えなくもない、とも思ったりしたが、それでだけにそれぞれが何となく丸く収まっていくという物語の収斂が気持ち悪かったりもするので、やはりちょっと苦手だ。


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狩人の夜 (1955)

    銀行強盗で奪った金を幼い息子ジョン(ビリー・チャピン)に託して逮捕され、死刑を執行されたベン(ピーター・グレイブス)が拘留中に発した寝言から金の隠し場所を嗅ぎつけたハリー(ロバート・ミッチャム)は伝道師に成りすまして町へやってきた。ハリーは伝道師として町の人々の人心を掌握し、ベンの寡婦ウィラ(シェリー・ウインターズ)をも取り込んで結婚してしまう。まんまとジョンの家に入り込んだハリーは、ジョンと妹のパール(サリー・ジェーン・ブルース)に金の隠し場所を教えるよう迫るのだった…。監督チャールズ・ロートン。

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    世界の残酷さを生々しく描きながらも全てが詩的で美しくすぎる傑作。河をボートで渡る子供たちとそれを見守るように河岸に佇む動物たち、ハリーを乗せた列車の禍々しさ、美しくもグロテスクな芸術作品のような水中の死体など凄まじい画面の連続に圧倒される。

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    そんな画面の中で展開される物語も全く古びてない。偽伝道師とは言えハリーのキリスト教原理主義者的振る舞いは現代にはびこる偽預言者たちそのままだし、それに感化され一度は盲信した偽伝道師に対して、のちに社会的制裁を声高に叫ぶ市井の人々の恐ろしさは全く他人事ではない。

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     しかし神のように驕り平気で断罪を叫ぶ人々と対照的に、人を裁くことをせず、慎ましやかに日々を送り、しかし子供たちは命を賭して守る気概を持ち合わせたミス・クーバー(リリアン・ギッシュ)の崇高さで、僅かながらの光明も見せてくれる。

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     そしてロバート・ミッチャム演じるハリーのキャラクターの造り方も悪そのものでありながら強烈な魅力を放っていてとにかく凄いが、なんと言っても子供の描き方が素晴らしい。子供を子供扱いせずに一個の人間として描きながら、それでもやはり子供なんだというクライマックスの行動は何度観ても涙腺が決壊してしまう。凄い映画だ(タイトル忘れていたんだけどね)。


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ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢 (2008)

    街のパン屋のウォレスと愛犬グルミットは元ベークライトガールのパイエラと愛犬フラフルズをパンの配達中に偶然助けて知り合いになるが、パイエラは街で頻発しているパン職人だけを狙った連続殺人事件に関わっていて…。ニック・パーク監督作品。

   今回は連続殺人モノをやっていて、しかもホントに人が死んでいてオチも洒落にならないんだけど、そこら辺りもジャンル映画への愛の表出と少しの皮肉として機能していて流石だった。

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   重機をパワードスーツとして扱うエイリアン2のパロディは、きちんと強い女子が戦うという部分も含めて再現されていて愛を感じた(それにしても前作はターミネーターだし、キャメロン好きなのか、それともネタにしやすいだけなのか)。このクライマックスではウォレス邸の遊び心の過ぎた設備をフル稼働でアクションに活かしていて、かなり楽しい。

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    全体としてはネタという部分を超えて殺伐とした雰囲気が作品に影を付けてしまっている感じもあったものの、やはりグルミット(と今回はフラフルズ)の表情の表現や細かい遊び心が抜群に楽しかった。何より毎回活躍しているのに気を揉んでばかりのグルミットが報われるというのがかなり嬉しい。最後に少しだけPuppy Love が流れるのも素敵だった。


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ウォレスとグルミット、危機一髪! (1995)

     窓拭きサービス屋を営むウォレスと飼い犬のグルミットの元に、誘拐された群れから逃げ出したひつじのショーンが迷い込んでくる。そんなある日ウォレスは窓拭きを依頼してきた毛糸屋のウェルドンに恋をするが、彼女は頻発するひつじ誘拐事件に関わっていた。
ニック・パーク監督作品。

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  今作も冒頭から隙がなく、編み物しているグルミットが可愛すぎる。起床から朝食までの自動機械がシリーズならではのバージョンアップで楽しく、そのまま窓拭きサービスへサイドカーで出動するサンダーバード感で音楽ともども盛り上がる。そしてアニメーションならではの荒唐無稽さを活かしたバイクアクションで、そこで対峙する悪犬プレストンもターミネーターぶりが完璧で相手として申し分ない。

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   サイドカーが飛行機に変形して飛んでいくグルミットはスヌーピーを彷彿とさせた。

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    初登場のひつじのショーンとひつじたちもあとで主役を張るだけのことはあって、さすがのキャラ立ち。面白かった。

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