2021-09-12 アムネジア(角川書店)/稲生 平太郎 書籍 犯罪に巻き込まれ、闇社会に入り込んでいくスリリングな物語として楽しんでいると全く別次元の世界に入っていき、デビッド・リンチ的な展開を楽しめた。作中人物が物語自体を語るメタ小説のようでもあり、純粋に超常的な物語の展開するオカルトSFとしても読める不思議な幻想譚で、叙述的なトリック以外も人物の焦点を故意に混乱させて見せる細かな語り口や突発的な暴力の恐怖描写だったりが小説ならではの面白味を感じさせてくれた。