監督:木下麦
ある程度綺麗に物語が閉じていたテレビ版からどう展開させるのかと思ってたら総集編だった。一応別視点からの再構築っぽい仕掛けはあるが、映像含めて本筋そのものに新たな意味が付加される事は無く、ファンサービス、もしくは新規客への導入用として楽しむ作品かな、とは思った。
ちなみにTV版は一見メルヘンチックな世界観の中で差別や暴力がはびこる暗部を見せることで現実世界の写し絵として世界の残酷さをあらわにするととともに、市井の人間が何とかそれに抗う姿に魅力があった。あったのだけど、物語後半で裏社会のグループが実は殺人は行わないというルールを自らに課していることが明らかになって、物語世界を覆っていた暴力が実態を消失し、しかも裏社会のリーダーは殺人はしないし、影で慈善活動もやっていて、根はいいやつみたいな事になり、何か作品自体が反社組織と政界や芸能界の結びつきを古き良き因習として捉えてるかのような印象を与えるに至って、作品としての緊張感はもちろんだが、モラルとしてもどうなん?ということになっていたんだけど、そこら辺の印象も特に変わらなかったな。