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Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) (2017・米)

   猿と人類の全面戦争勃発から2年。シーザー(アンディ・サーキス)率いる猿の群れは森の奥深くに秘密の砦を築き身を潜めていた。しかし大佐(ウディ・ハレルソン)の率いる人間の軍人グループが猿のカリスマであるシーザー暗殺を企て、シーザーの妻と息子を殺害。シーザーは仲間たちを新しい隠れ場所へ向かわせるも自らは盟友のモーリス(カリン・コノヴァル)、ロケット(テリー・ノタリー)らを連れて復讐の旅に出る。旅の途中、口のきけない人間の少女ノバ(アミア・ミラー)や動物園出身のチンパンジー、バッド・エイプ(スティーヴ・ザーン)らとの出会いを経て、シーザーは人間たちの基地にたどり着くのだが……。

監督、脚本:マット・リーヴス、脚本:マーク・ボンバック、撮影監督:マイケル・セレシン、プロダクションデザイナー:ジェームズ・チンランド、VFX:WETAデジタル、VFXスーパーバイザー:ダン・レモン、シニアVFXスーパーバイザー:ジョー・レッテリ、共同製作、VFXプロデューサー:ライアン・スタッフォード、衣装デザイナー:メリッサ・ブルーニング、音楽:マイケル・ジアッキーノ。

 

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    イーストウッドの西部劇みたいな映画の中に『大脱走』やら現代社会の問題もぶち込んでエンターテイメントに仕立て上げた力作で、1作目だけ観ていて前作は観ていなかったが全く問題無く鑑賞出来た。というよりもう『猿の惑星』である必要すら感じなかったので、シリーズはこれで完結でいいんじゃないかとも思った。

 

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    クライマックスから幕引きまではかなり大雑把だったけど、そこへ至るまでは道程は猿の荒唐無稽な物語を丁寧に大真面目に演出していてきっちりと燃えたし、同じ物語を人間がやっていたら普通の映画かも知れないが猿がやってるだけで味わいも倍増していた。なので寓話として物語を享受しやすいという意味で『猿の惑星』であることが必然なのか。

 

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    そして現代に『猿の惑星』を作品として成り立たせる為の条件であるエイプたちの存在のリアリティが、作品の一番の見どころにも当然なっていて、CGによって毛先までリアルに作られた猿たちの実在感はアンディ・サーカスを始めとする役者陣の熱演もあるんだろうけど、クオリティが高過ぎてちょっと怖いぐらいだった。

 

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映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』予告編 - YouTube

 

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アトミック・ブロンド (2017・米)

   冷戦末期、英国秘密情報部M16オフィスでM16主任のグレイ(トビー・ジョーンズ)、CIAのカーツフェルド(ジョン・グッドマン)は諜報員ロレーン(シャーリーズ・セロン)からベルリンの壁崩壊直前の東ドイツにおける任務報告を受けていた。M16現地リーダー、パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)やフランスのスパイ、デルフィーヌ(ソフィア・ブテラ)らの暗躍、情報提供者スパイグラス(エディ・サーマン)の亡命作戦など、ロレーンは機密のスパイリストを巡る驚くべき争奪戦の模様を語り出す。
監督:デヴィッド・リーチ、脚本、製作総指揮:カート・ジョンスタッド、プロデューサー:シャーリーズ・セロン、原作:アントニー・ジョンストン、サム・ハート、撮影監督:ジョナサン・セラ、プロダクションデザイナー:デヴィッド・ショイネマン、編集:エリザベト・ロナルドスドッティル、衣装デザイナー:シンディ・エヴァンス、音楽監修:ジョン・フーリアン、音楽:タイラー・ベイツ

 

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   冒頭から鳴り続ける80年代を軸にしたBGMは選曲のセンスが良いし、好きな系統の音楽ではあったけど、ほとんどミュージックビデオのような鳴りっぱなしの使い方だったので、そのテイストが80年代そのものの表現になっているのは理解しつつも劇伴としてはうるさく感じた。それだけに痛みと重みを感じさせながらも虚構ならではの軽みと外連味に溢れたシャーリーズ・セロンのアクションをタップリと見せつける後半の長い肉弾戦では、音楽がピタリと鳴り止むことによってシーンの凄味をより際立たせてもいた。

 

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   そんな感じで作品トータルがどうだったかというより、とにかくシャーリーズ・セロンのアクションだけでお値段以上の価値と楽しみがあったので、せっかく孤高のヒロインとしてのカッコ良さだった主人公が最後は結局飼い犬的立ち位置に落ち着くという致命的ガッカリポイントを抱えつつも十分満足な映画だった。

 

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映画『アトミック・ブロンド』予告編 - YouTube

 

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ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 (2016年・チェコ、英、仏)

   第2次世界大戦の最中、イギリス政府とチェコスロバキア亡命政府がナチス高官ラインハルト・ハイドリヒを暗殺すべくヨゼフ(キリアン・マーフィ)、ヤン(ジェイミー・ドーナン)ら7人をナチス占領下のプラハへと送り込む。元より無謀な計画であることに加えてハイドリヒ一人を暗殺することが占領下のチェコの状況をさらに悪化させるだけではないのかという懸念を持つ仲間たちも少なくなく、ヨゼフとヤンもそれぞれ現地の協力者レンカ(アンナ・ガイスレロヴァー)マリー(シャルロット・ルボン)と恋仲になることで迷いが生じていた。それでもヤンたちはプラハ内のハイスター(トビー・ジョーンズ)率いるレジスタンスと協力して計画を進め、遂に暗殺を実行するのだが…。 

監督、脚本、撮影:ショーン・エリス、脚本:アンソニー・フルーウィン、美術監督モーガンケネディ、編集:リチャード・メトラー、音楽:ロビン・フォスター。

 

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   ドキュメンタリータッチでナチス占領下のチェコをリアルに描きながらも同時に幻想的色彩の映像で全編悪夢の中にいるような感覚も表現された物語の歴史的な重さに相応しい世界観が素晴らしかった。

 

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   事件そのものの描き方も、英雄譚としての側面と愚行による惨禍の記憶、そのどちらとも感じとることが出来るギリギリのバランスを保っていたので、変なノイズ無しに没頭することが出来た。

 

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中でも暗殺決行場面は緊張感が溢れていて、キリアン・マーフィ松田優作ばりの狂気演技も良かった。

 

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『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』予告編 - YouTube

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2017年音楽年間ベスト

   音楽、一応アルバムベースのベスト。ストリーミングとか聴きだしたら時間足りないので基本的に盤で聴いた少ないパイからのチョイスです。

 

1位 花澤香菜『Opportunity』

   今年も最高でした。来年のスタートがいきものがかりの人の楽曲で不安ですが、多分大丈夫なハズ!

花澤香菜 「Opportunity」(全曲試聴) - YouTube

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2位 Julien Baker『Turn Out The Lights』

  苦手な系統だと思ってたら見事に中毒になってしまった。

Julien Baker - "Turn Out The Lights" - YouTube

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3位 Mount Eerie 『A Crow Looked at Me 』

   私小説のようでありながら冷徹に作品として組み立てられていて、凡百の喪失アルバムとは一線を画した作品でした。

"Ravens" by Mount Eerie (official video) - YouTube

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4位 Japanese Breakfast『Soft Sounds From Another Planet』

  今年のドリーミーなポップスでは1番好きでした。

 Japanese Breakfast - Machinist (Official Video) - YouTube

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5位 Cornelius『Mellow Waves

   ライブも良かったので。

 Cornelius - 『あなたがいるなら』"If You're Here" - YouTube

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6位 Courtney Barnett & Kurt Vile『Lotta Sea Lice』

   楽しそうでいい感じでした。

Courtney Barnett & Kurt Vile - Over Everything (Official Video) - YouTube

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7位 けもの『めたもる シティ』

  再生回数では1番だったかも。

けもの / めたもるセブン 【MV】 - YouTube

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8位 坂田学『木の奥』

  演奏、アレンジはもちろんだけど声がとても良かった。

Ki-No-Oku Manabu Sakata Trailer Long ver. (not final mix, not mastered) - YouTube

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9位 Spoon『Hot Thoughts』

  カッコいいロックアルバム。

Spoon - Hot Thoughts - YouTube

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10位 台風クラブ『初期の台風クラブ

  カッコいい日本のロックアルバム。

台風クラブ/相棒 - YouTube

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  あぁ、年を越してしまった。とりあえず急いで選んでみたけど日本のバンドだけでもギリシャラブやNUUAMMとか他にも色々あったし復活RIDEも良かったな〜などと考え出すとキリがないのでこれで締めます。

 

2017年映画年間ベスト

    観た映画の数も少なければ観られた映画の感想自体も書く時間が無くて間に合っていない貧乏暇なし状態がエスカレートしているけど、とりあえず一年の締めとして羅列しておきます。

 

1位『宝石の国


    いきなり映画じゃなくてテレビアニメなんだけど、作画、世界観、緩さと緊張感がジェットコースターのように入れ替わりそのどちらもが面白いストーリー、完全にハマってしまった。特に3話、10話は映画以上に映画的だった。これはセカンドシーズン、もしくは映画化必至だよな。

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2位『ツイン・ピークス The Return』


    で、次も映画じゃないんだけど…。今作は『ツイン・ピークス』の続編でありつつリンチ映画の集大成として映画以上に映画的な上にテレビシリーズであることにも自覚的に作られているという凄い作品だった。実は全方位的に一応のピリオドを付けて終わらせるなど意外なサービス精神も発揮していて、感動すらあるというのもビックリだった。

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3位『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス


   これは今年娘と一緒に観て一番楽しかったので。

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス (2017・米) - yudutarouログ

 

4位『ベイビー・ドライバー 


   エドガー・ライトの全くブレないセンスの発露に脱帽でした。

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ベイビー・ドライバー (2017・米) - yudutarouログ

 

5位『夜は短し歩けよ乙女


    サイケデリックで独自な世界を作り上げながら映画としてとことんエンターテイメントになっていて凄かった。

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夜は短し歩けよ乙女 (2017・日) - yudutarouログ

 

6位『エル ELLE


   上質で変態なサスペンスという大好きなジャンルの傑作だったよ。

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エル ELLE (2016・仏) - yudutarouログ

 

7位『バーフバリ 王の凱旋』


   さっき観たばかりなのでどこに置くべきか迷ったが、物凄い作品だし、物語の語り口、見せ方のデカさは色々気遣って小さくなったハリウッド製冒険譚へのカウンターとして強烈だった。

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8位『20センチュリー・ウーマン


   エル・ファニング枠で…。『パーティで女の子に話しかけるには』の七変化も可愛かったけど総合点でこちらに。

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20センチュリー・ウーマン (2016・米) - yudutarouログ

 

9位『パターソン』


   あとからジワジワ良くなり続けるいい映画でした。

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パターソン (2016・米) - yudutarouログ

 

10位『ブレードランナー 2049』


   続編の存在自体未だに容認してないけど大画面で観るSF的映像としていい物見せてもらえたので。

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ブレードランナー 2049 (2017・米) - yudutarouログ

 

 

   今年はズバ抜けた映画は無かったかな、とか思っていたけど、思い返して書いていると『アシュラ』を筆頭に韓国映画も面白かったし、他にも『キングコング: 髑髏島の巨神』とかも楽しかったな、などと色々蘇ってきて、何より見逃した映画が山盛りだよな〜という例年通りの感想に落ち着きました。

全員死刑 (2017・日)

   2004年に福岡県大牟田市で発生した家族4人全員による強盗殺人死体遺棄事件の映画化。ヤクザ稼業が行き詰まり困窮した父テツジ(六平直政)、母ナオミ(入絵加奈子)、長男サトシ(毎熊克哉)、次男タカノリ(間宮祥太朗)の首塚家四人は知人の資産家であるパトラ(鳥居みゆき)の一家の襲撃を企てるが、首塚家のあまりに粗雑で行き当たりばったりの行動は暴力行為を異常にエスカレートさせていく。

監督・脚本:小林勇貴、脚本:継田淳、原作:鈴木智彦、プロデューサー:千葉善紀、西村喜廣、音楽:中川孝、撮影:鈴木啓造、美術:佐々木記貴。

 

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   常軌を逸しているけど確実にそこら辺にいるキャラクター造形とそれを演じる役者陣がハマっていて、見世物映画としてもパワフルで疾走感があった。主人公のタカノリが凶悪行為にハマっていく中で時折悪霊のような存在を感知して現実と幻想が揺らぐなどの映画的仕掛けは単なる実録風じゃないというエクスキューズにしか感じなかったが、畳み掛ける展開の勢いもあって、実話ベースであることや露悪的な姿勢に引っかかりを感じることなく怖さと面白さを存分に味わえた。

 

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大牟田一家4人殺害事件に基づく間宮祥太朗の映画初主演作『全員死刑』予告編 - YouTube

 

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ゲット・アウト (2017・米)

   ニューヨークの写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)は恋人ローズ(アリソン・ウィリアムズ)から実家へと招待される。自身が黒人であることから白人のローズ一家から歓迎されないのではという不安を抱えて訪れた郊外の邸宅でローズの父(ブラッドリー・ウィットフォード)や母(キャサリン・キーナー)、弟(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)たちから過剰に手厚い歓待を受けるが、ウォルターと(マーカス・ヘンダーソン)、ジョージナ(ベッティ・ガブリエル)という黒人の使用人を使役させていることに違和感を覚える。翌日開かれた白人ばかりのパーティの中で黒人の若者を発見したクリスは彼にカメラを向けるがフラッシュが焚かれた瞬間に男は豹変し、「出ていけ!」と襲いかかる。親友のロッド(リルレル・ハウリー)の忠告もあり、いよいよ状況に危機感を募らせたクリスはローズとともに実家から抜け出そうとするのだが…。
監督、脚本:ジョーダン・ピール、製作:ショーン・マッキトリック、ジェイソン・ブラム、撮影監督:トビー・オリヴァー、プロダクション・デザイン:ラスティ・スミス、編集:グレゴリー・プロトキン、衣装デザイン:ナディン・ヘイダーズ、音楽:マイケル・アーベルス。

 

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   白人至上主義者らによる黒人への憎悪感情が憧憬の裏返しで成り立っているという皮肉な見立てや、自分という存在が他者に乗っ取られ、取って代わられるかも知れないという主人公が味わう恐怖がマジョリティがマイノリティに対して抱く恐怖感のこれまた裏返しになっていたりして、凄く考えて作られたホラーだと思った。

 

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    とは言えホラーとしては中盤までの得体の知れなさがスリリングで、不気味の正体が見えてしまって以降は追いかけてくるのがアブナイ思考回路ではあるものの肉体的には普通のファミリーなのであんまり恐怖感はなく、物足りなさも感じた。ラストは本当は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」みたいにするつもりだったんではないかと思ったがどうなんだろう。あとケイレブ・ランドリー・ジョーンズ出てたのは良かった。カッコいい。

 

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『ゲット・アウト』予告編 - YouTube

 

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