家族全員が失業中で、その日暮らしの底辺生活を送る夫のキム・ギテク(ソン・ガンホ)、妻のチュンスク(チャン・ヘジン)、長男ギウ(チェ・ウシク)、長女ギジョン(パク・ソダム)のキム一家。しかしギウがIT企業のCEOパク氏(イ・ソンギュン)の娘(チョン・ジソ)の家庭教師としてその豪邸に入り込んだのを契機に、キム一家は運転手や家政婦として、身分を巧みに偽りながら、自分たちと正反対のパク家の内部へと入り込んでいくのだが…。
監督・脚本:ポン・ジュノ、プロダクションデザイナー:イ・ハジュン、衣装:チェ・セヨン、撮影:ホン・ギョンピョ、音楽:チョン・ジェイル。
貧困や格差社会などの今日的テーマを、恐怖とユーモアに悲哀のスパイスを絶妙にまぶした洗練されたエンターテイメントとして描いていて面白かった。役者もいい。花郎の人(パク・ソジュン)も良かった。寄生という概念を物理的にパク家に寄生していくキム家と、社会的弱者に寄生するように成り立っているパク家、どちらにも当てはまるように描いているのも上手い。物足りないとすれば、綺麗で上手過ぎなところぐらいか。
で、この映画で一番怖かったのは、社会的底辺にいても、それでもわずかな希望を持って、先の見通しを立てていたソン・ガンホパパが、ついに希望を無くして、『最高の計画は計画を立てないことだ』と達観したかのように息子に語るところ。計画を持たない、計画を持てない、夢や希望、人生の設計図を用意出来ないということが、自暴自棄や、従うべきモラルの喪失を迎える始まりであることを明確に描いていて、現実の社会における諸々の負の側面を集約して感じさせる凄い場面だったよ。
第72回カンヌ国際映画祭で最高賞!『パラサイト 半地下の家族』予告編 - YouTube