世界のサカモトの自伝なので、既に聞き知ったエピソードも多くあるし、分量的に坂本龍一のキャリアから考えたら全然足りないのだが、それでも面白すぎるエピソードが満載で、めちゃ楽しかった。ベルトルッチとの出会いや撮影現場での様子などはわりと詳しく述べられていて、本人にとっても大きなターニングポイントと感じでいることが分かる熱量で読み応えがある。ミーハーとしてはYMOのサクセスストーリーの内実をもっと語って!という気持ちもあるが、YMO再生時、3人ともギクシャクしていたという納得の証言など、なるほどー、という記述もあって、十分に楽しい。あと、そこまで詳細に語っていないのに女性関係のだらしなさが滲み出ていたりするなど坂本龍一のキャラクター自体に私小説の主人公的な面白味と愛嬌があるのも読み物としてポイント高い。