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Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS (2003)

   ゴジラのDNAから製造されたメカゴジラ『機龍』がゴジラを撃退してから1年、再び東京に迫りつつあるゴジラを迎え撃つべく政府は機龍の修復作業に追われていた。そんな折、機龍整備班員、中條義人(金子昇)の叔父、中條信一(小泉博)の元にインファント島よりの使者で、旧知の間柄でもある小美人(大塚ちひろ長澤まさみ)が現れ、自然の摂理に反する機龍の運用中止を勧告、従えばモスラが東京を救うと告げる。しかしモスラによる襲撃を経験している政府は機龍によるゴジラ迎撃を推し進めるが…。監督脚本手塚昌明、脚本横山昌宏、特技浅田英一

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    機龍の運用に関する描写がCGの組み合わせを含め前作から格段にパワーアップしていて楽しかった。巨大ロボ運用の為に大量の整備班が活動する雰囲気はエヴァパトレイバーの影響が見られるが、特撮怪獣映画への憧憬からロボットアニメにそれらの要素を取り込んできた作品群から更にそのエッセンスを特撮映画へと逆輸入的に注入してやろうという目論見が前作での実験を経てより完成度を増した形で提示されていた。

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    キャラクターに関しては前作からの流れを一応踏んでいて、釈由美子もゲスト的な扱いながらちゃんと物語内で登場していて嬉しい。そして今作のヒロイン如月梓役の吉岡美穂はタンクトップ姿が逞しくセクシーで、棒読み気味のぶっきらぼうな台詞回しも良かった。小美人役で長澤まさみが出てくるのもお得感がある。ちなみにそのシーンでは『モスラ』でのザ・ピーナッツによる小美人のオリジナル映像がフラッシュバックで出てくるのだが、それを見たうちの娘は昔のほうが歳とってるやん、という容赦ないツッコミを入れてた…。

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    義人が地下鉄線路をバイクで突っ走って機龍の修理へ向かうアクションはクライマックスへ向けての素晴らしい盛り上げになっていて、そこからの一連のシークエンスを通して技術者が機械と直接向き合い、より良いものを作っていく情熱の崇高さを見せてくれた。それが機龍に使われた技術に代表される行き過ぎた科学の負の側面と合わせて人と機械の関係性、科学進化の功罪というテーマを自然に浮かび上がらせていて、義人と機龍のコミュニケーションによるフィナーレをより感動的で深みのあるものにしていた。

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    大島ミチルによる劇盤も機龍シリーズに相応しいドラマティックさで、ゴジラのテーマを使わずに今の怪獣映画を作るという気概が感じられた。実際2000年代の怪獣映画の傑作のひとつになっていたと思う。

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↑うちあげられたカメーバの場面も味わい深い。


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ゴジラ×メカゴジラ (2002)

   半世紀前に初代ゴジラが東京を襲った後、ゴジラ自体の再来は無いものの巨大生物が度々日本を襲撃しているという世界設定(そこで言及される巨大生物はなぜかモスラとガイラ…)。政府は特生自衛隊(対特殊生物自衛隊)を設立してそれに当たっていたが、ついに二体目のゴジラが出現、特生自衛隊はなす術もなく破れた。その戦いの中、車輌の操作ミスで同僚の死の原因を作ってしまった特生自衛隊員の家城茜(釈由美子)は資料課へ転属させられる。一方政府は各分野のエキスパートを召集、対ゴジラ兵器として半世紀前に海に沈んだゴジラの骨をベースにした生体ロボット『機龍』(メカゴジラ)を開発。そして機龍のオペレーターとして茜が呼び戻され、茜は再びゴジラとの対決に赴くのだった…。監督手塚昌明、脚本三村渉、特技菊地雄一
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    一度はどん底に落ち込んだ茜が機龍のオペレーターとして再起するまでの這い上がりと、特別チームを編成しての機龍完成へのプロジェクトが並行して進んでいき、遂に機龍と茜が邂逅して出撃、という展開に燃えた。特に茜のトレーニングシーンは釈由美子ならではの魅力が炸裂。

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    機龍のプロジェクトチームの方ではメインの科学者湯原(宅麻伸)をオトボケ担当、彼の娘を子供目線担当で配置して、子供映画としての備えを万全にしていた。昔はそういう子供に媚びた設定は必要無いと思っていたけど、実際子供と一緒に映画を観るようになると、子供も観ることが前提にある映画ではそういった配慮は嬉しい。それで全体のバランスが崩れるなら話は別だが、シリアスな雰囲気の緩和剤として今作ではちょうどいい配分だった。

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    特生自衛隊機龍チームの描写も内部の不信から軋轢を起こしつつ、最後は一丸となるプロットがベタながらも盛り上がる。機龍に関してはケレン味溢れるアクションにCGが追いついていない部分が多々あるし、暴走エピソードなどエヴァまんまじゃないかとツッコミたくなるが、そこも含めて楽かった。軍人が首相となあなあで、直談判したらちょっと危ない兵器だけど出動OKというのはけっこうヤバかったが、まあ燃えるからいいのか。

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    というわけで、ゴジラ映画を観てる気はしなかったが、特撮ロボット物、特撮ヒロイン物として意外に楽しい映画だった。

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日本の熱い日々 謀殺・下山事件 (1981)

    昭和24年、国鉄初代総裁下山定則が線路上で轢断死体として発見されるという『下山事件』が発生。新聞記者矢代(仲代達矢)は自殺説、他殺説飛び交うこの事件を追ううちに、GHQ、日本政府の陰謀と、戦後日本の闇を垣間見る。監督熊井啓、脚本菊島隆三

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    仲代達矢の過剰な熱演が凄くて、特に前半で、相棒の刑事(山本圭)と荒天の中で事件のヒントを発見するシーンでは、大仰に盛り立てる演出と二人の過剰なエモーションによってBL的な世界に突入したのかと思うぐらいの勢いだった。

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    しかし元々が未解決の事件で、真相の明かされることのない物語なので、劇的に展開することのない地道な捜査・取材の過程を映画として盛り上げていくにはこのぐらいの演技がちょうど良かったりするのだろうか。熱演と言えば後半出てくる隆大介が、内容的にも物語映画的展開へ加速していくこともあって印象的だった。粗暴さと気弱さが同居しているようなキャラクターにハマっていた。スコセッシの新作にも出て欲しかったなあ。

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    物語としては未解決事件ならではのモヤモヤ感の残る映画だが、個人的には俳優陣の過剰な熱演に加えて80年代の初頭に作られた映画ながら戦後の寒々しさとその後の変容をリアルに感じられる映像を見せてもらえただけで十分に楽しかった。


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アンダー・ザ・スキン 種の捕食 (2013)

   異星人と思しき美女(スカーレット・ヨハンソン)がスコットランドの街を徘徊し、男たちを誘惑しては謎の空間へ閉じ込めていたが、様々な出会いを経て彼女の行動に変化が起こり…。ジョナサン・グレイザー監督作品。

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    物語的説明を排した乾いた映像での語り口は、監督の出自からして天然ではなく、多分狙ったカッコつけだと思われるが、その狙い通り、同様に異星人が登場する普通のSFとは一線を画した面白さがあった。ちょっと『地球に落ちた来た男』を彷彿とさせるムードもある。

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    そして日常風景をエイリアンの目線から客観的に映し出す映像が、異邦人の視点からみたスコットランドの街並みをSF的風景に変換していた。そんな、世界に馴染めない気持ちを持つ側からの眺めが、ナルシスティックではあるものの、SF好きにとっては共感を持たずにおられない感覚で、個人的にもスカーレット・ヨハンソンがダラダラ車を走らせる前半は至福の時間だった。

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   ミカチューによる未来的ながらも古典的SFの風情がある劇盤が雰囲気を出していて良かった。あとスカーレット・ヨハンソンの脱ぎっぷり、どてっとした姿に好感度が上がった。

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怪盗グルーのミニオン危機一発 (2013)

    怪盗グルーは悪党稼業から足を洗い、3人の女の子を養いながら謎の生物ミニオンたちと悠々自適の生活を送っていたが、超極秘組織「反悪人同盟」に捜査官として勧誘され、美人だか変わり者の捜査官ルーシーとともにショツピングモールに潜む悪人を発見する為に潜入捜査を開始する。監督ピアー・コフィン、クリス・ルノー

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    子供達が現在公開中の『ミニオンズ』を見たがっていたので予習の為に一緒に観た。スピンオフで主役になるだけにミニオンたちのキャラ立ちが素晴らしくて、敵に操られて怪物化した姿も含めて観ているだけで面白い。さらにはグルーがテンション上がってファレル・ウィリアムスの『HAPPY』をBGMに街を練り歩く躁状態描写なども楽しい(これを下敷きにファレルのPVを作ったのか、同時進行だったのかは分からないんだけど)。

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    ただアニメーションとしては舞台のショツピングモールのいかにもCG然とした佇まいに面白味を感じないし、ストーリーも敵役の息子の扱いなどがぞんざいだったりして子供映画だからこそもう少し丁寧に作って欲しい。

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     ミニオンを始めとしてキャラが立っているのは楽しいので多分一作目は面白いんだろうなとは思った。で、結局新作は仕事の僕抜きで子供達は観に行っちゃった。観たかったな。


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チキンラン (2000)

   卵を産み続けなければ屠殺される運命の養鶏場の雌鶏ジンジャーは、自由な世界を夢見て仲間たちと外の世界への脱出を画策していた。そんなある日、空を飛べるという雄鶏ロッキーが養鶏場に現れ、ジンジャーたちは空の飛び方を学んで脱走しようと企てる。しかしその頃、養鶏場経営者婦人のトゥイーディーはニワトリたちをチキンパイにして売り払う計画を立ち上げていた!ピーター・ロード、ニック・パーク監督作品。

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    子供と鑑賞。字幕版だったので全て同時吹替え作業をしつつ観たら疲れた(つまりわりと台詞が多い)。前半部の大脱走オマージュは楽しいが物語が進むにつれてニワトリたちが主役という設定の無理が積み重なって苦しい。タマゴが取引材料になったり投げつける武器になったりで、擬人化されたニワトリの子種の扱いとしては何とも釈然としない気分にさせられる。そもそもブロイラーのニワトリたちを囚人として単純化することで子供達が観る作品としてかなり偏った価値観の提示にも思えてそこも複雑な気分になる。しかしタマゴの件も含めてブラックユーモア的な意図があることは分かる。

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    あと機械描写や図面での脱出計画会議などアードマンアニメーションズ作品らしさも満載だし、ニワトリキャラもよく出来てはいるのだが、犬(グルミット)や羊(ショーン)と比べるとどうしてもキャッチーさには欠ける。自由への飽くなき熱望には燃えたけど。ロッキーの声がメル・ギブソンだったのは気づかなかった。

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世界の終りのいずこねこ (2014)

    舞台は近未来、突如発生したパンデミックによって東京が壊滅した後、先進の科学文明をもつ木星人の庇護下で生活を営む関西新東京市の人々。しかしそんな日々も迫り来る隕石により終焉を迎えようとしていた。そんな中、ネットアイドルとして配信を続けている女子高生イツ子(いずこねこ/茉里)の元に木星人を名乗る女が現れる…。竹内道宏監督。

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    どこにでもいそうな、普通に可愛い女子=アイドルというだけでは映画のヒロインにはなり得ないことを痛感させられた。主人公に真の偶像性のような説得力があれば面白さがあったかも知れないがヒロインが歌い踊るクライマックスも平板な演出で、サブカル臭の閉じた気持ち悪さしか感じられない。友人役の蒼波純をはじめアイドルが大挙して出てくる顔見せ興行的作り方も映画を観ている気分から遠く離れさていく感じで辛かった。


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