yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

エンドブルー(電撃文庫)/著者:入間 人間 ・イラスト:仲谷 鳰

 仲谷鳰のイラスト目当てで購入していたのをやっと読んでみたら、何コレ?、全然良さが分からない、『あだしま』の作者なのに何だろう、とか、これがラノベクオリティなのか、とか、色々疑問符沸かしながらとりあえず読了。あとがき読んだら二つの別作品の後日談の短編だったらしい。とりあえず前知識無しで読んだら前半の殺し屋のエピソードは作品内リアリティすら感じられず、後半のエピソードは関係性も何も情報が無いと単に姪を囲う気持ち悪い叔母の妄想話みたいにしか思えないという感じで、これは本編読んでから手に取るべきだったな、という結論に至った。

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君は放課後インソムニア(全14巻)/オジロマコト

 ネタバレ有り、です。

 

 ポチる時、紹介文に、『遂にハッピーエンド!』と書いてあったから、曲(まがり)が死なない、というのは分かってしまっていたが、ホントにそうだったので、まずは良かった。しかしハッピーエンドと言えるのかどうかは何とも言えない。

 最後、曲と中身(なかみ)は仲間達との集まりのために久々に再会したということなのか。結局、中身は曲を「重い荷物」として降ろし、身軽に生きる道を選んだのか、それとも曲は入退院を繰り返していて、今回やっと再会出来たということなのか。曲は中身の存在があって未来を見つめられるようになったはずだが、その時点で例え中身がいなくなったとしても前へ進めるような心境に辿り着いたのか。などと色々考えてしまうし、リアルな人生で考えれば初恋が最後の恋であること=幸福なんてことは無いのだけど、漫画世界ではやっぱり親近感のある2人の関係性が永続することがハッピーエンドなので、勝手にそちら寄りの解釈で済ませたい気持ちはある。説明や台詞を削ぎ落として、絵そのものと編集(コマ割り)で物語や情感を伝えてきた作品なので、最後だけ分かりの良い結末にするという選択肢は無かったということだろうし、答えは与えてもらえないんだけど。ああ、でもストレートはハッピーエンドを見たかったとは思う。

 なので結末に関しては感情として咀嚼し切れないところもあるのだけど、作品全体としての評価は不動。あくまで主人公2人にフォーカスを当てたまま、周囲の青春群像劇も丁寧に活写した物語と、確かな画力に支えられた漫画だからこその演出の連なりで完走した傑作だったなー。

 そして白丸先輩が最後まで最高だった。オジロマコト作品で主役級の扱いを受ける存在である猫がそのまま人間化したようなキャラクターの白丸先輩、次回作でも倉敷先生とセットでまた登場して欲しい。

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ゴジラ−1.0 (2023年・日)

 第二次対戦末期、敷島(神木隆之介)は特攻隊の任務を機体の故障を理由に先延ばしにし、整備施設のある大戸島に着陸したが、その夜、島はゴジラと呼ばれる巨大生物の襲来を受け壊滅的打撃を受けてしまう。そして戦後。様々な心理的負い目を抱いたまま東京へ帰還した敷島は、家族を失い戦災孤児の赤ん坊・明子を連れて彷徨う典子(浜辺美波)と出会い、共同生活を始める。しかし、何とか生活が安定した頃、さらに巨大化したゴジラが再び敷島の前に現れる。

監督・脚本・VFX:山﨑貴、撮影:柴崎幸三、編集:宮島竜治、音楽:佐藤直紀

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 息子と観てきた。山﨑貴がゴジラを撮る…、この時点で何となくどんなものになるのか、というのは予想が出来ていて、きっとゴジラゴジラによる破壊描写はかなりのクオリティで、ストーリーはちょっとアレなんだろう、という予想は頭に浮かんでしまっていたのだが、実際鑑賞したら、やっぱりそんな感じだった。

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 ゴジラの造形はレジェンダリー版も含めた最近のマッチョな感じで、目新しくはないけど違和感もない、といったところ。戦後の昭和の町並みをそんな最新版のゴジラが破壊するという光景は、原点回帰は何度かやっていても風景まで遡行するというのは今までのゴジラ映画では多分やっていなくて、画面として新鮮で面白かった。これが監督のやりたいことだったのなら、その目論見は成功していて、この絵面を見せることに特化して、あとはひたすら荒唐無稽に作ってくれれば素直に楽しい!で終わっていたんだけどな。

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 ということで、やっぱりネックはストーリー、というか世界観で、主人公を始めとする男たちの矮小なヒロイズムやナルシズムがどうにも気持ち悪過ぎた。これ、主人公が神木隆之介くんだったからそれでも耐えられたが、もう少しでもヒロイズムを抱えたような役者だったら、ちょっと無理だったかも。出てくる野郎どもは戦争を生き残ったことへの葛藤、死に際を逃した反省、などを抱えて悩んだりしているんだが、もう観ていて違うだろ〜と言いたくなる気色悪さだった。反省し、見つめ直すべきは戦争という状況や劇中にも出てくる戦災孤児たちを作り出したことであって、人間がそこを乗り越えられず、またもや核実験などをやらかしたからゴジラが生まれてしまったわけだろうに。そして浜辺美波演じるヒロインは、そんな男をただ黙って許して包容して、というひたすら受け身の、人形のような人物として作られていて、一体いつの時代の価値観なんだと思わされた。もちろん時代設定に合わせた価値観を持ったキャラクターに造形することは別に構わないのだけど、物語そのものがそれに寄り添っていることが気色悪いのだった。たまたまゴジラの前に『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観てしまっていたので、これがスコセッシだったら、このどうしようもなく小さな人々をひたすら情けなくダメダメに描いて、共感と自己への反省を促してくれただろうに、と思ってしまったよ。

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 それに加えて物語の語り口そのものが、紋切り型と予定調和しか無い、というのもヤバかった。脱出装置の話が出た後の場面で意味ありげに戦闘機の座席を見つめる整備士(青木崇高)…、ああ、脱出装置付けたんね、と思わせてホントに付けてた…。最終決戦でお前は来るなと言われた若者(山田裕貴)、どう考えても来るよな、と思わせておいて、そしてやっぱり来たぜ、という展開…(この若者が民間船引き連れてやってくる場面は盛り上がる前に『ダンケルク』かよ!というツッコミが先に来る…。しかも未来のある若者だからお前は来るなと博士(吉岡秀隆)たちが同行を拒否していたのだが、その前の場面では「この作戦では誰も死なないことを誇りとするのだ」とか言っていて、矛盾しまくりなんだが。やっぱり死ぬ気マンマンじゃないか!という)、吹き飛んでしまった浜辺美波、しかし死んでる姿は見せていない、これ少年漫画では九死に一生を得てるパターンやん…、でやっぱり死んでない…。冒頭で反目した主人公と整備士、やっぱり最終的にがっつり分かりあうんだろう、と思わせておいてホントに和解する…。ゴジラですら、放射能吐くまでのタイミングを尾ひれでカウントダウンして教えてくれる…、などなど、なんだろう、この予定調和、過剰なサービス精神は。ここまでやられると馬鹿にされてるとしか思えなくなってくるのだが。

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 ただ、ラスト、ハッピーエンドのような形で、浜辺美波が神木くんに、あなたの戦争は終わったのね、と言いながら浜辺美波自身におそらく放射能汚染が暗示されていたのは、自己満足的な戦争への心の決着とかごちゃごちゃやっていたけど、実は何にも終わってないよというメッセージが込められているようにも読めて、だとすれば色々ひっくり返して読み解くことも不可能ではない気もした。多分考え過ぎだが。何にせよ、息子もゴジラがもう少し出てきて欲しかったけど楽しかったと言ってたし、最初に述べたように今の山﨑貴のクオリティで戦後の東京にゴジラを出現させる絵面は見応えあったしで、ゴジラ映画としては十分に楽しませてはもらったのだった。しかし『シン・ゴジラ』の次がこれとなると、次回はどうするのかな。個人的には再び釈由美子ゴジラみたいなSFバトルモノを企画して欲しいところだが。

【予告】映画『ゴジラ-1.0』《2023年11月3日劇場公開》 - YouTube

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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年・米)

 1920年代、隔離政策によりオクラホマ州の辺境に追いやられた先住民族のオーセージ族は石油の利権により偶然にも富裕層となっていた。その富を虎視眈々と狙う地元の白人有力者・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)の元へ帰還兵の甥・アーネスト(レオナルド・ディカプリオ)が身を寄せる。アーネストはオーセージ族の娘モリー(リリー・グラッドストーン)と恋に落ちるが、ヘイルはそれを利用してオーセージ族の富を搾取しようとアーネストを操っていき、その謀略は様々な暴力を生み出していく。

監督・脚本・製作:マーティン・スコセッシ、脚本:エリック・ロス、撮影:ロドリゴ・プリエト、美術:ジャック・フィスク、編集:セルマ・スクーンメイカー、音楽:ロビー・ロバートソン。

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 娘と観てきた。上映時間も結構長いから観るかどうか悩んだが、場合によっては劇場でスコセッシの新作を観るという機会がラストかもという思いもよぎったので鑑賞したら傑作だった。フレッシュで、まだまだ作品撮りそうだから最後なんてことは無さそうな勢いだった。

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 娘は結局のところディカプリオが何をやりたいかサッパリ分からんかったという感想を述べていたけど、ホントにそんな映画だった。その場その場で流されて、保身の為だけに行動する小さな人間のどうしようもなさ、ほとんどそれだけを描いていて、しかし何気ないやりとりのひとつひとつがそれぞれの思惑を何層にも含んでいるからスリリングで、演出、演技、編集の力と相まって、時間を感じさせない面白さだった(とは言えもう少し短くして欲しかったが)。

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 それにしてもディカプリオ演じる主人公のダメっぷりは徹底していて、叔父に言われて糖尿病の薬に混ぜていた液体が本当に妻の身体を楽にする何かだと、愚かさから信じていたのかも、少なくとも妻という他者だけは本気で大事にしていたのかも、という観客の淡い期待を最後の最後に裏切る最低なキャラクターでありながら、その脈絡のない行動にはどこか自分自身や自分の周囲の人間の姿が重なって、何ともいたたまれなくなったり、自省を促されてしまったりさせられた。

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 あと、デ・ニーロ。凄い役者なのにわりと何でも出演するから、最近では相対的に何となくエッジを感じなくなっていたけど、スコセッシと組むと迫力が違って、ディカプリオとの新旧スコセッシ組の演技合戦は見応えがあった。それとブレンダン・フレイザーも良かった。ハムナプトラの頃から今までに色々あったらしくて容姿もすっかり変わっていたけど、かつてのヒーロー的な佇まいと愛嬌に加えて、その裏側に仄暗さも感じさせる雰囲気をまとっていて、個人的にちょっと思い入れのある役者でもあったので、今回の捜査官役のハマり具合は嬉しかった。

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 というわけで、わりと当たり外れのあるスコセッシ、今回は当たりの作品だった。次回作もあるかな。次は2時間無いぐらいの、コンパクトにギュッと締まった作品を観たいところだが。

映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ファイナル予告 - YouTube

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ノースマン 導かれし復讐者 (2022年・米)

 父オーヴァンディル王(イーサン・ホーク)を叔父フィヨルニル(クレス・バング)に殺され、母グートルン王妃(ニコール・キッドマン)を略奪されたアムレート(アレクサンダー・スカルスガルド)は荒ぶれたバイキングの一員となっていたが、復讐を実行するために奴隷に身をやつしアイスランドへと渡る。その途上、アムレートは同じ奴隷船で運ばれていた女性、オルガ(アニヤ・テイラー=ジョイ)と運命的な出会いを果たす。

監督、脚本:ロバート・エガース、脚本:ショーン、撮影:ジェアリン・ブラシュケ、編集:ルイーズ・フォード、音楽:ロビン・キャロラン。

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 こんな超大作を撮っているのに、ちゃんと作家性というか、やりたいことをやっている姿勢は凄い。初期作で既存のハリウッドとは違う感性で登場しながら二作目以降尻すぼみになったりアメコミ映画などに吸収されて独特の面白さがスポイルされてしまう監督が多い中、それだけでも貴重かも。

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 で、今作。ゆったりとしたカメラワークの中で繰り広げられる蛮族の肉弾戦に迫力があって、コナン(名探偵でも未来少年でもない方)の世界がここに!という感じで良かった。ファンタジー世界に際立つバイオレンスと呪術的な世界観のまぶし具合は『ゲーム・オブ・スローンズ』を想起させるが、『ウィッチ』の監督らしく、呪術方面の土着信仰的な雰囲気が色濃く、寒々とした北方の村国家で繰り広げる復讐譚は小ぢんまりしているのだか壮大なのか分からないけれど独特の神話世界を見せてくれて良い。

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 キャストも良くて、主役のアレクサンダー・スカルスガルドの粗暴さもハマっていたし、再びアニヤ・テイラー=ジョイを起用してくれてるのが個人的に満点。他のキャストも豪華だし、役に違和感も無かったのだけど、ニコール・キッドマン以外はエンドロール見るまで分からなくて、それもハリウッド大作を見てる感覚が薄くて良かった。とはいえビョークは出る必要あったのかとも思ったけど。存在感はあったが、あのメイクで魔女役やったら別にビョークじゃなくても強烈なキャラになるだろうし…。

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 ともかく、世界の狂気に取り込まれ、狂人としてしか生きる術を持たない人間の足掻きっぷりをアクション大作として作り上げたロバート・エガースには次作以降も期待しちゃうし、今作も映画館で観るべきだった。『ライトハウス』もまだ観てないから観なきゃと思った。

映画『ノースマン 導かれし復讐者』予告編 - YouTube

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ニューオーダー (2020年・メキシコ、仏)

 メキシコ、富裕層の豪邸。政財界の名士たちを集め、家主の娘マリアン(ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド)の結婚パーティが盛大に執り行われていた。しかし同じ頃、豪邸の外では経済格差による貧困に喘ぐ人々が暴徒と化し、街は殺戮と略奪による混沌状態に陥っていた。やがてパーティー会場にも暴徒が乱入し、使用人たちも同調して会場は地獄絵図と化すのだった。

監督、脚本、編集:ミシェル・フランコ、撮影:イブ・カペ、編集:オスカル・フィゲロア

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 WOWOWでタイトルだけみて、またマンチェ関係の映画だと思って観たら違った。全然バンドとは関係なかった。ゾンビ映画がメタファーとして描いてきたものを、メタファー抜きで直接に富裕層と貧困層の対立として描いたリアルに胸糞悪いパニック映画だった。世界の現実を映し出す意図も明確だし映像も鮮烈、徐々に拡がっていく不穏さもホラー映画として面白かった。しかし統治する体制そのものが悪の根源として描かれたとしても結局のところ『匿名の群衆』が怖ェ〜という印象が1番強烈に残ってしまうのは、映画の伝わり方としてどうなん?、というところもあり、やはり〈人間怖い!〉という映画はゾンビなどのオブラートに包んでもらった方が楽しみやすいな、とは思った。群衆心理が怖いとか人間が醜いってのは重々承知なので、それをそのまま描かれると凄く滅入るというのもあるしね…。

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ディストピア・スリラー映画『ニューオーダー』本予告 - YouTube

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Ash /Race The Night

 途中までは、ひょっとして全盛期に並ぶ傑作かと思ったが、流石にかつての全曲シングルばりのクオリティみたいなことは無かった。しかし凄くいい。特に今作では久々に女性ボーカルとの絡みもあって嬉しい。ギタポ聴くなら未だにAshとWeezerで充分だなー。

Ash - Race The Night (Official Video) - YouTube

Ash- Oslo (feat. Démira) - Official Video - YouTube

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発売日 2023/9/15

収録楽曲
1. Race The Night
2. Usual Places
3. Reward In Mind
4. Oslo (feat. Démira)
5. Like A God
6. Peanut Brain
7. Crashed Out Wasted
8. Braindead
9. Double Dare
10. Over & Out
11. Like A God (Reprise)